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業界の中の多くの企業が、鋼製船舶の特定ニッチ分野において競争力を持ち得るとの楽観的見解を持っているようである。

しかし、鋼製船舶のある分野については競争力を喪失している。載貨重量5,000トンのはしけ建造入札を募ったオーストラリア企業によると、最低入札価格は中国の造船所からのもので、オーストラリア造船所の最低入札価格を1,000万米ドル下回ったとのことである。これは非常に大きい競争力の差があったことを示している。

オーストラリアは、太平洋パトロール計画(Pacific Patrol Boat Program)及び香港・クウェート・フィリピンへの販売により、パトロール船の設計、建造においてアジア太平洋地域での地位を確立した。パトロール船は、同地域の至るところで軍隊、税関、漁業、捜索救助パトロールにおいて広く使用される。同地域においては、更なる可能性がある。

オーストラリアは、鋼製作業船、漁船の建造においても実績がある。規制の変更が漁船需要に大きな影響を与えた。曳船及び大型(補助金対象サイズ)漁船の代替市場は、オーストラリア造船所にとって大きな潜在的需要が見込まれている。マーケティング活動は、アジア太平洋地域における市場拡大を目的としており、契約獲得には有利なバイヤーズクレジットの供与が鍵となる。

 

2.3 造船業に対する政府助成制度

→ 造船補助金制度(Ships Bounty Scheme)

連邦政府が国内または輸出向けのいずれについても、対象船舶の原価の一部を造船所に補助する制度。これは、海外における多額の政府助成制度に対するオーストラリア造船業界の保護を意図したものである。

1998年末連邦政府は、オーストラリア造船業界に対する統合的な支援政策を発表した。同政策では、ヨーロッパで実施されている助成制度に相当する造船補助金を、1999年7月1日から2000年12月31日までの間対象建造コストの3パーセント補助にて継続すること認める一方、2001年1月1日以降の同補助金の段階的廃止を決定した。

 

 

 

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