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(1) MAN B&W(小ボア径エンジンの強化)

ドイツのMAN B&W Dieselグループは、ボア径320mm、400mm、480mm、580mmの既存モデルを補完する小ボア径中速エンジンの強化に力を入れている。オランダの子会社であるMAN B&W Alpha Dieselが中心となって取り組んでいるが、この代表には、革新的モジュラーコンセプトを導入したL16/24の後継機のL27/38(出力2MW-3MW)がある。このモデルはシリンダユニットを完全な組立部品として取り替えることが出来る。また、このモデルは、小型船向けの統合推進パッケージとして、ギアボックス、CPP(可変ピッチプロペラ)及び電子管理システムと組み合わせて提供される。L27/38をベースとした第1号の推進システムは1999年末に引き渡された。

第3番目のAlpha Dieselの新型エンジンはL21/31(ボア径210mm、出力200/190kW/シリンダ、回転数1000/900rpm)であるが、これはL16/24、L27/38と同じ設計思想によるものである。

 

(2) Mak Motoren1(新エンジンM43:新たな競争者)

もう一つのドイツの中速エンジンメーカーはMak Motorenである。同社は1992年以来、M20、M25、M32エンジンを発売して好評を得てきたが、このシリーズの最新型エンジンM43(In-lineシリンダモデルは一般貨物船、コンテナ船、フェリー、タンカー向け。V型はクルーズ船、旅客船向け。最大馬力16.2MW。)を1998年に導入した。M43の第1号は、1999年にノルウェーの造船所で建造されたケミカルタンカーと大型トロール船に搭載されたが、その時点における同モデル発注は舶用と発電用を合わせて40台を超えていた。Mak Motorenは、1999年12月にDiesel Motoren Rostockのエンジン工場を買収し、この施設を4ストロークエンジンの製造に当て、M43等の製造能力の強化を図っている。

 

(3) Wartsila(W64の投入)

最も強力な中速エンジンWartsilaのW64を搭載した初めての船舶(H P Wegener所有のコンテナ/バルク・フィーダー“Containerships VI”(11,600dwt))が1999年に就航した。W64搭載のContainerships VIの就航は、W64シリーズの利点(エンジン据え付け架台の柔軟性、エンジンのコンパクトさ)を強調した。エンジン据え付け架台の柔軟性は振動、騒音を低減し、エンジンのコンパクトさは貨物積載量の増大をもたらした。なお、エンジンのコンパクトさは、単位体積当たりの出力を高めることと潤滑油ポンプ、冷却水ポンプ、オイル冷却装置・フィルタをエンジン本体に組み込むことによって実現されている。

Wartsilaは、VLCC、シャトルタンカー、コンテナフィーダー、クルーズ船に対するW64のメリットを強調し、現在低速エンジンに支配されている分野への同シリーズの売り込みを図っている。

 

1 2000年8月に社名がCaterpillar Motoren GmbH & Co. KGに変更された。

 

 

 

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