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1.5 合併・買収の理由

1.5.1 VickersによるUlsteinの買収

Ulsteinの買収において、その買収の背景として、Vickersは統合システム(integrated system solution)に対する顧客の要望が増加傾向にあることを揚げていた。このような背景とともに、Vickersが舶用推進システム、位置制御システムの世界的なリーディングカンパニーになるという戦略を持っていたことから、同社はUlsteinの買収に着手した。

Vickers MarineとUlsteinの合併により、舶用推進システムと位置制御システムの世界的リーダーが出現し、Vickersの舶用部門は、Kamewa、Aquamaster、Ulstein、Brown Brothers及びBird Johnsonというよく知られたブランド名で特徴付けられることとなった。

 

1.5.2 Rolls-RoyceによるVUMSの買収

R社によるVickersの買収の目的は、R社の既存の海軍関係事業に、強力な商船分野の舶用事業を加え、舶用推進システムの世界的リーダーになることであった。

VUMSは、成長分野である高速旅客船、豪華クルーズ客船、貨物船及び軍艦の推進システムやスタビライザーを設計・製造していた。また、同社は、プラットフォームや物資・人員供給船を含む石油オフショア産業用の方位スラスター(azimuth thruster)や、商船やオフショア用のウインチ等も供給していた。

R社にVUMSを統合することにより、R社は同社の核となる技術や世界に誇るガスタービン技術をさらに発展させることが出来る。補完的な製品分野はR社の市場参入範囲を拡大し、統合されるVUMSの顧客を通して市場への新しいルートがもたらされる。また、R社は、幅広い製品分野の大きな市場を獲得する結果として、アフターサービス事業の拡大も可能となる。R社は、VUMSの買収に関し、以下の事項を確信している。

・補完的な製品と能力は市場機会を拡大する。

・両社の顧客の統合は、両社の製品の市場ルートを拡大する。

・Rolls-Royceブランドを拡大し、世界中で名声を高めることが出来る。

・研究・開発能力を統合することにより、より効率的に新製品・サービスを開発できるようになる。

・重複活動の解消により、購買、販売及び配達費用の削減が期待できる。

・舶用事業は、アフターサービス事業を提供することから、Vickersの買収により、アフターサービス事業を展開できる機会が増える。

・トータル・ケア・パッケージに対する要請が増加しており、R社はこの分野に関する開発を実施してきたが、これがさらに強化される。

 

 

 

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