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第2章 世界の海運業のプロファイル

 

2.1 分析手法

世界の船腹の分析を行うため、“Fairplay World Shipping Encyclopedia”の船腹データ(1999年1月1日現在)を基本とし、船腹の分類、実質支配国についての情報を補足的に追加して、船舶情報データベース(VID)を作成した。また、このデータを用いて世界の船腹の価値評価を行った。

VIDには、原則として、載貨重量トン数(DWT)5,000トン以上の船舶を含めることとした。これは、多くの海運関係の統計でこうした裾切りが一般的であることに加え、これ以下のサイズの一般商船は、主要船舶融資銀行の抵当融資には適当でないとされていることによるものである。ただし、その他の船舶については、1,000DWT以上とした。これは、クルーズやフェリー、オフショアなどDWTは低いが高価値の船舶が存在し、これらを評価に含めるためである。

VIDに収録した船腹は、1999年1月1日現在で23,139隻、76,120万DWTである。また、現在の手持ち工事で1999年〜2004年の間に引渡し予定の船舶が1,908隻、10,980万DWTある。なお、実質船主については、134カ国に、総計4,735の組織が存在している。

海運業の資本評価の推定を正確に行うためには、世界の船腹の価値評価を行う必要がある。このため、最近の中古船価格や新造船価を調査し、船舶の大きさ(一般商船ではDWT、コンテナではTEU等)及び船齢に応じた船価を示す「船価曲線」を、船種・船型ごとに作成した。この「船価曲線」は、1998年6月〜12月の間の中古船売買や船舶ブローカーの報告書をもとに得た、60の船種・船型にわたる合計約365項目のデータの分析により作成されたものである。船齢を変数として、単位サイズ(DWTやガス運搬船の場合のタンク容積等)あたりの船価をプロットし、近似曲線(通常は指数曲線)を求めた。

得られた近似式を、総計23,139隻のデータベース収録船舶に適用し船腹の価値を算定した。なお、算定された各船舶の価値は1999年1月現在のものである。新造船価についても同様であり、例えば1997年に1999年より高い価格で契約していたとしても、これには1999年1月現在の新造価格を用いている。

この手法では、船型グループのサンプルにかなりの幅があるため、個々の船舶の価格に対して±10%の誤差があるものと考えられるが、マクロレベルでは、平均値を導くものとなっていると考えられる。

この報告書では、世界の船腹を船種と地域の観点から分析している。船種については、「ウェットバルク」、「ドライバルク」、「一般貨物船」、「その他」の4つの区分を行った。これらのそれぞれの区分は、更に、例えばウェットバルクでは、「クルードキャリア」、「プロダクトタンカー」、「ケミカルタンカー」などのタイプに細分され、更にもう1段細かいサブタイプに細分されている。(4部門、10タイプ、142サブタイプの船種区分の詳細については、付録1に示す。)本報告書の第2章及び3章では、上記の4区分に基づいた分析を行っている。

 

 

 

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