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イソブタンの試験結果より設計スペック(駆動圧力0.86MPa)にほぼ一致することがわかる。また、許容背圧も同様にほぼ一致する。

HFC236faを用いた試験結果より性能曲線が設計と異なることがわかる。本試験においては液ポンプの性能特性上、駆動圧力を設計値の1.11MPaまで昇圧することができなかったため、駆動圧力0.95MPaの性能結果より設計条件の結果を予想した(図中「真のスペック(1.11)」の曲線)。

抽気圧力が一定の場合で比較すると、エジェクター効率が推定値より良いという結果が得られた。また、駆動圧力が設計値より小さい場合、抽気圧力を一定とするとエジェクターの性能が向上することがわかる。しかし、駆動圧力が低下するとエジェクターの正常作動範囲である許容背圧も低下するため、より低い冷却水が必要となり、運転範囲が制限されることになる。

図25、26に、エジェクターの冷熱変換効率(ηH)および成績係数(COPs)をそれぞれ示す。また、性能結果を表4に示す。

図25より、冷熱変換効率についてはイソブタンを用いたシステムがHFC236faを用いたシステムより優れている結果となっている。図26より、システム成績係数は媒体の違いや駆動温度によってデータにばらつきがあるものの、今回行った試験条件において20前後の高い値を示した。しかし、これらの計算はB社製ギア式ポンプ性能より推定しており、そのポンプ特性により成績係数の算出値が大幅に変化するため、作動媒体の特性だけで評価できない部分である。また、試験装置の制約上、抽気圧力が高い条件での試験を行うことができなかったために、その条件での性能推定に誤差を生じたことも予想される。

今回の性能評価においては、ギア式ポンプの性能曲線より推定を行ったが、防爆仕様でないことや運転条件が限られることなどシステム上の課題がある。本システムにおいて重要な要素である液ポンプに関しては、今後さらに詳細な検討が必要である。

 

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図25 冷熱変換効率の評価

 

 

 

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