9. 船舶用廃水処理装置の研究開発
研究開発名 船舶用廃水処理装置の研究開発
研究開発期間
開始 平成12年4月1日
完了 平成13年3月14日
研究開発実施者名 大晃機械工業株式会社
主任研究者 宮澤和規
研究開発費
事業費総額 8,072,740円
補助金額 5,600,000円
1. 研究開発の目的
海洋環境問題が叫ばれる中、MARPOL条約で規制されている汚水やビルジ等に限らず、船舶から廃棄される雑廃水についても排出規制を設ける国や港が出てきている。現状では汚水処理装置に流入するか、溜めタンクを設けるなどで対応しているが、食用油や生ごみの混入した廃水は汚水処理装置の処理能力を悪化させるなど適切な方法とは言えず、これらを一括して処理できる装置の開発が課題となってきている。
本研究開発は、生ごみ等の固形物と、殺菌処理のみで排出可能な廃水とを装置内で分別して、固形物は真空ポンプとヒータで乾燥処理し、殺菌処理水のみ船外に排出する処理装置を開発することで、規制への対応や海洋汚染防止に寄与するだけでなく、将来的に汚水やビルジの処理をも視野に入れた研究を行うことを目的とする。
本研究の具体的な目標は次の通り。
1] 船舶に搭載可能な、小型で処理能力の高い装置とする。
2] 自動制御で無人運転が可能な装置とする。
3] 処理水のBODを50mg/l以下とする。
4] 生ごみ等固形物の処理後の容積を1/5以下とする。
2. 研究開発の内容
2.1 処理方法について
船舶の居住区から排出される廃水の代表例を図1に示す。この中で既に規制されている汚水を除くと、ディスポーザから排出される生ごみ残漬等の固形物を含む廃水と、バスや洗濯機等から排出される廃水の2種類に大別することが出来る。これらをすべて本装置に流入させ、それぞれ異なる処理法を用いて処理する装置として開発を行なった。本装置の処理フローを図2に示す。
2.2 廃水の処理方法
2.2.1 前処理
あらかじめ固形物を多く含まない廃水はすべて前処理槽に流入され、グリストラップおよび沈殿槽を経た水のみ曝気槽に流入される。グリストラップ及び沈殿槽の残留物は、定期的に真空乾燥室に強制吸引される。