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図4.3-1に示すように、フレッシュな吸着剤を用いた場合には、初期のNO吸着能力に及ぼすSO2の吸着被毒はごくわずかである。

しかし、図4.3-2および表4.3-2に示すように、昇温吸着・脱離仮過程でのSO2の挙動をみると500℃までの過程では、SO2の吸着力は吸着力がきわめて強く、未使用品の場合にはSO2(200ppm)はすべて吸着していることがわかる。

また、吸着したSO2は800℃以上まで加熱することで初めて脱離し、完全に脱利するには1000℃近くまでの昇温が必要である。図4.3-3および表4.3-3に示すように水とSO2の共存により本条件下では吸着能力は23%低下する。

また、本吸着剤を繰り返し使用した場合には、図4.3-4、5および表4.3-4に示すように徐々に吸着性能が低下することが明らかとなった。したがって、実用に際しては、水洗等による再生方法の検討が必要である。

繰り返し8回目の試験においてSO2を3%過酸化水素水に捕集しイオンクロマトグラフによる硫酸イオンの定量を行った(100cc定容)。捕集時間は100〜400℃の30分間でそのときに供給されたSO2ガスの総量は0.9cc(stp)であるが、これは捕集溶液中の硫酸イオン濃度38.5ppmに相当する。

これに対して、捕集溶液を分析した結果検出された硫酸イオン濃度は4.75ppm(供給量の12.3%)程度であり、SO2分析計から求めた表4.3-4中の予測値(87.6)と一致することから、排出されているガスはほぼ100%がSO2と予測できる。したがって、吸着剤であるMn2O3・2ZrO2へのSO2の吸着に関してもSO2はSO3に酸化されてからジルコニア上に吸着されるものと考えられ、SO3の吸着力は極めて強いことがわかる。

 

 

 

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