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自然の声に耳を傾けよう

 

さて、みなさんは、沖縄にどんな生きものが住んでいるのか、少しわかってきましたね。これまでみなさんに紹介した生きものたちは、この地球で必ずしも幸せにくらしているとは言えません。自然破壊(しぜんはかい)、環境汚染(かんきょうおせん)などの問題で、たくさんの危機(きき)に直面(ちょくめん)しているのです。では、その生きものたちが、今どんなことで困(こま)っているのか、彼らの声を聞いてみましょう。

 

1. ヤンバルの森では…

 

<森林伐採(しんりんばっさい)>

ヤンバルの森では、ダム建設や開発のための大規模な森林伐採(ばっさい)が進められています。ヤンバルには、世界的にめずらしい種類の生物がたくさん生息しています。たとえば、世界中のどこを探しても、ヤンバルの森でしか見つけることのできない鳥、ノグチゲラがいます。

「絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)」としてその数の減少が今、心配されています。ノグチゲラの生態(せいたい)は、あまりよく知られておらず、現在でも調査研究が行われています。減少については、開発などで、森林が伐採(ばっさい)されたからだとみられています。ノグチゲラの生息数は、100前後とされています。

 

<動物界の脅威(きょうい)>

1993年、ヤンバルクイナが猫に捕食(ほしょく)されたことが地元新聞で報道されました。ハブ駆除(くじょ)の目的で放たれたマングースも分布域(ぶんぷいき)を北上させ、ヤンバルクイナの生息地に侵入(しんにゅう)しはじめています。

野生化した猫やマングースは肉食性で、地上を駆(か)け回るヤンバルクイナの新たなる脅威(きょうい)になっています。このように、ヤンバルの動物界に新たなる種が侵入(しんにゅう)し、これまでの生態系(せいたいけい)に悪い影響をおよぼしていることが、近年観測(かんそく)されています。ときには森林伐採(ばっさい)よりも深刻な問題とみられています。

 

 

 

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