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負傷

QE2が乗り揚げている間及び旅客を陸上に搬送している間に、負傷者も死亡者も出ていない。

 

損害

キューナード社によれば、船体修理の費用は、仮修理におおよそ500万ドル、本修理におおよそ820万ドルを要した。海事産業誌であるロイド・リスト・インターナショナルによれば、本船の不稼働期間の収支も含め、推定全損害額は、5,000万ドルに上っている。QE2は、1992年10月2日に運航体制を回復した。

 

水先人及び乗組員の情報

QE2の幹部乗組員は、英国の規定による資格を持った航海士、機関士で、普通船員は、様々な国々で資格を取得してきた者で構成されていた。

 

水先人…QE2の水先人は、ニュー・ヨーク州キングス・ポイントの合衆国商船大学を1965年に卒業している。卒業後、民間の船会社で活躍し、1970年からほぼ1973年までの間に上級免状を取得するとともに、ニュー・イングランド州水域各地の水先資格を得ていた。そして、14箇月間、パナマ運河で水先業務に就いたのち、1976年にノースイースト・マリーン水先人組合に加入した。同組合に加入してから、ニュー・ヨーク港において強潮流と強風の下で発生した、40,000トン級タンカーの岸壁衝突事件に関与した経歴をもっている。1989年に起きたこの件での損害は微少なものであった。1973年12月に、大型遠洋航行の機船・汽船の運航資格をもつ、合衆国コースト・ガードによる一級船長免状を取得した。本免状は、最近では1988年10月5日に、5年間有効として更新されている。また、同水先人は、1989年11月にマサチューセッツ州から、ヴィンヤード海峡を含んだ第3区の上級水先人資格を受けている。

8月4日の12時00分から15時30分の間に同水先人は、ニューポートからの出港軍艦一隻の水先業務を済ませていた。QE2の水先に就く前の最終業務は、ボストン港からブロック島まで商船一隻を嚮導したことであった。

 

 

 

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