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付録 1

 

IMO/ILOのヒューマンファクター調査プロセス

 

以下に説明するのはヒューマンファクター調査で使用する段階的な系統的手法である。このプロセスではいくつかのヒューマンファクターの体系、すなわち、Rasmussenエラー分類学(1987)の他にSHEL (Hawkins、1987)及びReason (1990)の事故因果関係及び包括的エラーモデリングシステム(GEMS)の体系等を統合、適用させたものである。

このプロセスは2つのタイプの事故、すなわち、事故とインシデントに適用でき、次のステップから構成される:

1) 事件データの収集

2) 事件経緯の確定

3) 不安全行為/不安全意思決定及び不安全条件の特定

そして、不安全行為/不安全意思決定については以下のとおりである。

4) エラーの分類又はルール違反の特定

5) 隠れた要因の特定、及び

6) 安全上問題となりうるものの特定と安全対策の策定

 

ステップ3〜5は潜在的な不安全条件を明らかにするので調査に有用である。ステップ6は安全上問題となりうるものの特定であるが、これは隠れた要因として明らかにされた要因に大部分基づいている。不安全条件が起こるべくして起きた事件を招いたとき、この場合、調査官はステップ3からステップ6に飛んでもよい。その他の場合、誤った意思決定によって成立した不安全条件から不安全行為や不安全意思決定が起こることがある。こうした場合の調査官はステップ3からステップ6まで調査を行わなくてはならない。

 

ステップ1-事件データの収集

 

ヒューマンファクターの調査プロセスでは、まず最初に事件に関わる乗組員、任務、機器及び環境条件に関する作業関連情報を収集することである。このステップで系統的手法をとることは包括的分析を可能とし、当面の事件を関連するデータベースに集め、組み込み、維持する後方業務の要件に合致させることを確保するために非常に重要である。

 

 

 

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