5. 韓国造船企業の財務構造
(1) 日韓造船企業の財務構造比較
韓国の造船企業の財務構造を比率分析により日本と比較する。比率分析の視点は、収益性、成長性、安全性の3つとする。
1] 収益性比較
収益性を示す代表的な指標である売上高営業利益率、売上高経常利益率を見ると、次の点を特徴として指摘することができる。
売上高営業利益率は、韓国が6〜10%、日本が3〜5%と、営業利益段階では、韓国企業が日本企業を上回っている。ところが、売上高経常利益率を見ると、様相が一変し、日本企業が3〜5%水準を維持しているのに対し、韓国企業は、一転して-2〜2%水準に落ち込んでいる。日本企業の場合、営業外収益と営業外費用がほぼバランスしているのに対し、韓国企業の場合、営業外費用が膨大であり、それが利益を大きく圧迫しているのが特徴である。後述のように両国の株主資本比率に大きな差がないことから、営業外費用の格差は主に両国の金利差に起因している。このように、韓国の造船企業は、事業そのものでは利益を確保しているものの、金融負担が重く、これにより企業収益を大きく圧迫されているのが特徴である。