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3.2.2 船舶管理(保船管理)業務と情報技術

 

(1) 講演概要

船舶管理について、その言葉の定義から業務の目的・内容、さらに船舶管理会社の形態に至る一連の事項を体系的に説明され、海外の事例も交えながら今後の船舶管理業務(特に保船業務)と情報技術との係わりついて解説があった。

まず“船舶管理業務”および、その実践の指揮者として“スーパーインテンデント(SI)”という呼び方が定着してきたのは比較的最近であり、主に海外の船舶管理専業会社(通称サードパーティ)の台頭によって我が国においても認知されるようになったとのことである。船舶管理業務の目的は、大きく1]堪航性(船体、機関、船員)の確保、2]貨物安全引受能力の確保、3]船質の維持、4]環境保護の4つが上げられ、業務内容の内訳としては船員配乗(MANNING)、海務業務(MARINE)、保船業務(MAINTENANCE)の3つが主要なものとなり、3つを総称して3M業務とも呼ばれている。SIは、これら3M業務を一元的に、かつ有機的に実行する役割を担う。通常はSI一人で5隻程度を担当する形態が多いとされる。

船舶管理業務において特に舶用メーカにとって関わりが大きいのが保船業務(MAINTENANCE)となる。船舶管理会社は、迅速しかも低コストで部品、船用品、潤滑油等の購買を行い、また長期的な視野にたって計画的に、そしてここでも低コストで保守を行い、事故対策として、予防保全、事故対応、事故再発防止の努力を続けている。本講演を通じて、舶用メーカは、これら一連のSIとの関わりの中でビジネス活動を行っている様子がよく理解できる。

船舶1隻あたりの全管理費用の中で保船費用が占めるのは約30%である。その内訳は、入渠費と修繕費の合計が約50%、潤滑油が約30%、残りの20%程度が船用品費用となる。このうち、コスト削減の影響を最も受けるのは修繕費である。

したがって、この部分をいかに圧縮するのがSIに課せられた大きな使命となっている。この他にも日本人高級船員の減少、経験豊かなSIの減少等の、事故・故障率の増加や管理コストの増加を招く多くの要因がある現状に対して、情報技術をどのように活用していくかを明らかにすることが今後の大きな課題であることを、本講演の中で最も主張されていた。その具体的対策の一つとしてSIが期待しているのは、なるべく人手を介さないで整備情報を入手できる仕組みであり、マシンtoマシンで情報交換が行える環境の構築が求められている。そして、さらに有力なコンテンツとして、性能診断、故障予知、トラブル対応支援、エンジニア派遣、部品・資材・引合等の各支援システムの名前が挙げられた。

 

(2) 講演会資料

当日の講演資料を次ページ以降に示す。

 

 

 

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