3.5.2 実験開始前までに準備された情報コンテンツの内容・様式
船社回答とメーカ回答を対比させながら、実験開始前までに準備された情報コンテンツの内容・様式についての整理・考察結果を以下に示す。
(設問内容)
1) 実験時の情報コンテンツの閲覧者/
実業務における情報コンテンツの他の閲覧者(見せたい者、見るべき者)
2) 情報コンテンツの内容評価
3) 情報コンテンツの実業務への有効性評価
4) その他
(整理・考察)
・情報コンテンツの他の閲覧者(見せたい者、見るべき者)に関する設問は、すわなち情報を共有するべき範囲を問うものであるが、情報コンテンツ毎に若干の違いはあるものの、船社・船舶管理会社側および舶用メーカ側共に、業務的につながりのある関係企業間に跨っている。
・これは、高度情報化の要件の一つとして、企業間の情報共有を可能ならしめることが必要であることを示している。
・情報コンテンツの内容評価では、パーツリスト、取扱説明書といった大容量ドキュメントの評価が低かった。たとえ“しおり”付きのPDFファイルでも、従来の紙のドキュメントをそのまま電子化しただけでは、評価を得ることは困難であった。
・この点は舶用メーカ側でも、情報の検索性向上や情報(項目)の分割方法での工夫が不可欠であることを十分に認識している。
・今回の実験で用いた他の情報コンテンツについては、特段の指摘はない。
・情報コンテンツの実業務への有効性評価では、船社・船舶管理会社側は今回の情報コンテンツが従来から紙で持っているものであり、また電子化ドキュメントの持ち味も十分に出されていなかったために、良い評価は少ない。
・一方で舶用メーカ側からは、「機関運転記録」や「点検整備記録」に対して「営業活動を行う際に有効」との回答が出されている。
・自由記入形式の回答では、情報コンテンツに求められる重要な要件として、「改良、図面変更等のマイナーチェンジを正確に迅速に、関連するすべての情報コンテンツに反映させなければならない」の意の指摘があった。これは両者にとって業務を円滑に迅速に行う上でも非常に有効であり、また電子化されたドキュメントの電子的な交換・共有である故に可能ならしめる事項である。