2.3.3 技術情報交換時のアフターサービス関連業務
本局面における、関連企業間の業務フローを図2-6に示す。
ここでは、部品受発注や工事実施というリアルなビジネスを離れた、メーカによる日常のサービス活動・情報交換という、船-舶間のアフターサービスを示している。
大まかなフローは、サービスニュースの配布と、定期的な技術連絡会の開催である。
(1) 本船の機器状況把握
・予防保全計画に沿って本船上で実施された作業の記録は、本船から陸上のSIに送られる。SIはそれらの記録を集計、解析・分析しながら、機器の稼働状況や性能トレンドを把握し、必要な指示を本船に伝える。
作業記録(発電機エンジン例):
-INDICATOR RECORD OF D/G
-DYNAMO ENGINE PISTON OVERHAULING RECORD
-CRANK DEFLECTION RECORD など
・上記の作業記録のメーカヘのフィードバックはあまり行われていない。メーカ側も各社毎に入手の積極さが異なっており、メーカによってはSIを定期的に訪問して、作業記録の数値から機器状況の簡易診断を行う(無償)サービスを行うところもある。
(2) メーカとの技術連絡会開催
・メーカ主催による、機器についての技術連絡会が定期的(おおよそ年に1〜2回)に開催されている。技術連絡会への出席は、通常はメーカ側から営業部門1〜2名、技術・サービス部門から4〜5名、船社・船舶管理会社からは4〜5名程度である。
・メーカ側には代理店からの出席はほとんど無い。また船舶管理会社側からは、SI・メーカ間のみで行うこともあるし、船主が参加する場合もある。
・技術連絡会の主要議題は、メーカからの本船上の機器に関する最新トピックスや新製品情報、また船主・船舶管理会社からの機器の稼働状況である。
(3) 機器の技術情報管理
・SI(または技術担当のスーパバイザ)が行う、技術情報管理業務の内容は以下のとおりである。
-メーカからのサービスニュースの入手
-関連情報の収集
-技術情報の解析・分析
-技術資料の作成および社内周知
-技術的問題の原因究明および対策検討
-技術的記録の管理・保管
・SIは入手した情報の管理(ファイル化、データベース化、共有化等)を行い、情報の集計、解析・分析、他管理船への周知徹底を図っている。
・メーカ側は、主に技術サービス部門が中心となって、サービスニュースを作成し、系列の代理店、SI、および船主に配布を行っている。配布頻度はその時々の内容次第ではあるが、おおよそ年3〜6回程度である。
・サービスニュースの基となる内容は、技術サービス部門が収集したSIからのフィードバック情報や、メーカ設計・技術部門からの改良情報等が主である。社内限り、あるいは代理店限りで発行する情報もある。