船は、ロシア船サビンスク号、乗船して二、三度海水を吐きました。ロシア船員が二度にわたって私の体にウオッカを塗りこすってくれました。少しでも体を火照らすためだそうです。そして毛布に包みベッドに横にしてくれました。
船長さんの無線をかける声が聞こえてきましたが、中々船が動きません。その日は日曜日で税関が休みで入港船の税関手続が出来ないとかで、保安庁の船が来たのが午後八時でした。ロシア船に救助されてから二時間のプランクがありましたが、私は九死に一生を得ました。
病院に運ばれた時の体温は、三二度、白血球は人間の限界を超えるほど下がっていたとのことでした。寒さがひどく看護婦さんに電気毛布で体を包んでもらい、毛糸の胴巻き、毛糸の靴下を履き、三時間ほどして人心地がつきました。
この体験で思ったこと、感じたことをまとめますと、1]何はともあれ救命胴衣の着用が第一かと思います。そのことで海面に浮くという安心感がもてます。2]救命胴衣を着けていてもたえず手足を動かしていること。それは少しでも体温を保持することにつながります。3]駄目と思うことは絶対に駄目。それは死につながります。4]法的なことですが、人命救助の際、どのような船でも税関の手続が終わってなくても例外的に最寄りの港に着岸出来るような措置を願うものです。
これでいいだろう操業は止めて、右よし、左よし、細心の注意を払い安全操業に徹したいと思うものです。
標語
小樽支部
気をつけよう 小さな油断が 大きな事故
留萌支部
船のかわりはあるけれど 命のかわりは決して無し
桧山支部
海難は 無理・無謀の心から
渡島支部
無事故で ただいま あしたも笑顔
胆振支部
妻や子の 笑顔一言 海難防止
日高支部
細心の 気くばり目くばり 安全操業
十勝支部
無理するな 安全まもって 笑顔で帰港
釧路支部
無理するな いたわる心 声かけて みんなに着せたい オレンジベスト
根室支部
安全航海 トモのかけ声 オモテの合図
網走支部
海のプロ オレンジベストは ユニホーム
宗谷支部
気の弛み 知った馴れたが 事故招く
安全操業宣言
周りを海に囲まれた北海道、われわれはその海を心のふるさととし、生活のあらゆる面に多大な恩恵を受けてきました。
北の海は、時には雄たけびをあげ、荒れ狂い、冬には流氷に覆われ、われわれを困らせることもあります。
しかし、いつもは優しくわれわれを包みこみ、豊かな資源を育んで心の安らぎと海の幸を与えてくれます。
海を生活の基盤としているわれわれは、第七回の漁船海難防止全道大会への参加を契機に、明るく豊かな漁村を築くため海難防止に最善の努力を尽くすことを宣言します。
「スローガン」
われわれの浜から 海難を無くそう