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3] 稲作生態系保全プロジェクト

近年の米余りや農村の高齢化・機械化・集約化などの中で、都市近郊農村でも棚田などの生産効率の悪い水田が次々と放棄されて来た。ところが、これらの中山間地の棚田や谷津田は景観的にも美しく、生物の多様性の点でも極めて豊かな生態系を構成している。この我が国の原風景である里山・田園環境を保全し、新しい活用(価値の発見)を図るには、その豊かさの実態と手法を提示しなければならない。そこで、最も絶滅危惧種が多く緊急性が要請されている稲作水系の昆虫を対象として、放棄された水田(休耕田)を浅い溜池(ビオトープ)に造成し、そこに生息・復元する水生昆虫の種数・個体数の調査と個体群の生息環境を年間を通して観察し、その変遷と環境利用について調査・研究した。

a. 実施方法

平成9年度に造成した休耕田と平成11年に造成した溜池(休耕田を掘り下げた観察池)を借地、協会の調査補助員(プロジェクト登録メンバー)により地域の伝統的稲作サイクルを再現(苗代づくりや施肥も含め)し、隣接地に溜池を維持して観察を行った。また、大学研究室内に観察水槽を設置し生態観察を行うとともに、協会調査補助員の協力を得て周辺林地(雑木林・栗林・スギ林など)における越冬固体についても調査を実施した。

 

b. 実施日時

平成12年4月〜平成13年3月(実施日は下表)

 

c. 実施場所

大阪府豊能郡能勢町山辺地区・同長谷地区・及びその周辺地域

 

d. 実施体制(調査員・調査補助員・造成協力)

研究責任者:大阪府立大学農学部昆虫学教室 教授 石井実

研究者:大阪府立大学農学部昆虫学教室 教授 向井康夫

研究員:大阪府立大学農学部昆虫学教室 教授 馬場直人

調査補助員:(社)大阪自然環境保全協会プロジェクトチーム(10名)

常俊容子・難波希美子・前田弘壽・小林正知・石川嘉寿樹

福田保雄・萩原敏・福永智子・長岡一夫・中川勝弘

造成作業員:(社)大阪自然環境保全協会プロジェクトチーム(8名)

西角井明彦・高妻勇・田内久之・中山利通・望月利英

足高壱夫・吉井秀子・佐々木和子

稲作水田再現協力者:(27名)

桐谷英三郎(水田地権者)・八木修(水田地権者)・山森茂治(機材・苗圃)

早川・伏見・橋本・塩田・志賀・平山・瀬光・谷口・土生・大迫・宮野・上田・梶原・秋田・久次米・植田・朝倉・朴・西海・滝沢・千葉・森・越智・新井

 

e. 実施内容(水田・実験池維持活動)

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