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種々な体験ができるルートの整備

日野町は湖東地域の奥にありますが、近くに同じ近江商人の町である五箇荘、近江八幡などがあります。また、日野町自体も西日本一の鎌掛谷の「ほんしゃくなげ群落」、「藤」で著名な正法寺、「さつき」の雲迎寺、農業公園の「ブルーメの丘」、キャンプ場の「グリム冒険の森」、ハイキングに最適な綿向山等の観光資源を持っています。これらを種々な時間ルートでめぐれるネットワークづくりが大切です。その中で歴史的町並み、寺院、農地、山やダム湖の眺望等を楽しむことができます。また、四季折々の美しい風景、花の美しい所、鳥の声が聞こえる所などを組み入れたり、広域的に近江八幡市や湖岸、三重県側も含めたルート設定も考えられます。

 

歴史観光商業の推進

長浜や彦根の例を待つまでもなく、神戸や横浜、函館等歴史を活かした商業観光地はレトロムードも関わって、発展を続けています。これは、イギリスのコベントリーガーデンの隆盛等世界的な傾向ともいえます。多くの歴史的町並みにしても、町並みを見るとともに、歴史商業を楽しむことが目的となっています。伝統産業はもちろんのこと、体験型の伝統工芸・芸能、歴史的雰囲気をバックにした飲食やブティック等可能性は無限に拡がっています。民間の努力で、まず、どこかにそれを牽引していくお店が必要です。

 

(3) イベントの開催・PR

イベントからのまちづくり

長浜のまちづくりも「長浜出世祭」というイベントから始まりました。定常的なまちとして一気に整備していくことは困難でリスクも大きいことから、まず、イベントで実験してみて様子を見るといった効果もあります。日野地区では「日野祭り」という格好の伝統行事があります。この時に、一般の人でも桟敷窓から祭りを見、縁台で楽しむ交流空間ができれば、とても魅力的なものになります。その他、各種のイベントが考えられますが、余り多くのイベントに取り組むとそれだけで疲れてしまいます。それより、今のイベントに集中し、それをさらに充実・発展させていくべきだろうと思います。そして、その中から定常化する道を探ることです。

 

PR

現代は高度情報化社会となっています。TVで一度放映されただけで驚くような人が押し寄せます。様々な情報手段を通じてPRを図ることが重要です。それとともに、自らのニュースやインターネット等の発信を行っていくことが重要です。但し、その情報に基づく受け入れ体制の整備が重要であることはいうまでもありません。悪い風評がたつのも情報化社会です。

 

観光と活性化は後からついて来る

訪れる人に親切で丁寧なまちづくりと、住むための魅力的な環境づくりを押し進めていけば、観光と地域の活性化は後からついて来るものです。この調査を起因として「日野の町並みと景観を考える会」などが、より発展的に自主的まちづくりを進めていくことを期待します。日野地区の人達が「日野祭り」で発揮するまちづくりへの力が日常的にうまくシステムとして持続していくこと、それが地域の活性化といえるのではないでしょうか。

 

 

 

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