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第1章 調査の目的と進め方

 

(1) 目的

 

日野町は戦国の武将蒲生氏郷のふるさとであり、近江日野商人の発祥地として現在も古い町並みが当時の面影を残しています。城下町当時の街路状況が残り、辻に地蔵があり、武家・町家・商家が複合し、塀には特徴的な桟敷窓をもった風情は個性的で落ちついたたたずまいをもっています。しかしながら、近年建替が進むなかで日野らしい町並みが急速に失われつつあります。

日本ナショナルトラストでは、平成12年度の観光資源保護調査で日野の町並み調査に取り組むこととなりました。日野町では、総合計画の基本指針に「町並み保存」を掲げ、まちづくりの柱の一つとしてきましたが、現在までは家屋の調査、近江商人館(山中兵右ヱ門家)・旧正野薬店を町有化し、保存・活用を図ってきた他には「町並み保存」に係る施策はほとんど実施することが出来ませんでした。町並み保存は住民の利害が絡むことから、施策の実施にあたっては、住民の理解を得、住民とともに保存と活用を考え、協同したまちづくりを進めていくことが最も大切です。

以上を踏まえ、日野町では平成11年度より3年計画で、住民とともに、町並み保存とまちづくりを進める組織体制の確立、整備手法の検討、日野町町並み保存地区の将来イメージの検討等を行い、保存と活用に向けての基本的方向と整備方針を確立することを目的とした調査を開始しし、平成11年度には「日野の町並みと景観を考える会」の設立とワークショップによる検討を行ってきています。

 

本調査は、前年度の成果を踏まえるとともに、既存の町並み調査や家屋調査の整理を行い、専門家としての諸調査を加え、住民とともに検討を行うなかで、日野の歴史的町並みの保存と活用の基本方向について、提言することを目的とします。

 

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