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水草や海草などの水に戻った被子植物はどうだろうか。このような植物でも、多くは花を水面上に咲かせ、風媒か虫媒が多い。しかし、トチカガミ科の海草ウミショウブでは雄花が帆掛け船のように水面を滑って雌花に集まる。アマモ科のなかにはすっかり水の中に沈んだ花をつけるものもある。この場合、花粉は糸状で水中か水面を移動し、雌しべの柱頭にからまるようにして受粉する。

 

Q80 陸の植物はこれからどうなる?

A80 人類は将来に向けて人口、環境、エネルギー、食糧という大問題を抱えている。これらは地球の大問題といわれるが、実は地球とその生態系にはどうでも良い問題である。人類が滅びても、他の自然は残るからである。しかし、今生きている我々にとって、子孫に良い状態の地球を残すことは責務である。良い状態とは何か。それは、子孫が他のできるだけ多くの生物と共存してゆける地球である。そのために、陸上の植物がどう変化するのか予測できればよいのだが、その基準は無い。現在の地球温暖化のような人類が引き起こしている問題は、地球にとっても初体験だからだ。少なくとも、現在の規模と速さで温暖化が進めば、植生は大きく変化するだろうといわれる。一方、進化という視点から陸上植物の将来を考えると、被子植物においてさらに雌しべが包み込まれるような進化が起こる可能性がある。種子植物の生殖器官進化は、胞子嚢の包み込みの繰り返しだったからである。

 

H 水界から陸海へ-2

[動物を中心に]

 

Q81 地球にはどんな生き物がいるのか?

A81 地球にいる生き物は、大きく5つのグループに分けられています。そのうち顕微鏡などを使わなくても見える生き物には3つのグループがあります。その中で多細胞動物や植物は、私たちが日常見慣れているものです。肉眼で見える大きさの第3の生き物はキノコの類(菌類)です。植物は葉緑体を使って生きて行くためのエネルギーを自分で作り出す能力(独立栄養)があるのに対し、多細胞動物も、キノコも自分以外の生き物の作った栄養を手に入れて生きています(従属栄養)。肉眼では観察しにくい生き物の中には、原生生物とバクテリアの二つの大きなグループがあります。原生生物とバクテリアを比べると、バクテリアのほうがより小さく、また細胞の作り単純です。このように生き物は大きく5つのグループに分けられ、生物の5界と呼ばれています。

 

 

 

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