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しかし、援助が開始した頃には、もうその援助は最重要課題ではないかもしれない。その時々で変化して行く政治経済情勢を踏まえて、医療協力をする際、草の根的な医療活動を行っているNGOとの協力の輪がもっと広がっていって欲しいと思う。

研修後、健康とは何だろうと考えるとき、フィリピンで人形を作っていたハンセン氏病の患者さんたちが頭に浮かんでくるようになった。多くの子供たちが遊ぶハンセン氏病病院のなかで、今なお差別はあるものの、家族の支えを身近に感じて生活していた患者さんたちの笑顔は朗らかだった。多磨全生園の患者さんたちを思い出し、「すべての人の心も身体も健康を!」と切に感じた。

今、私は、スポンジのように自分の中に吸収してきたことを一つ一つ取り出しながら消化している。多くの人に出会ったが、思いやりの心を持って、自分の好きだと思うことをしていける人が国際医療の現場で活躍していることが一番印象に残っている。短期間に国際医療のトップからボトムまで多岐にわたって見せていただいた知識を、自分の中だけで終わらせることがないように、所属する国際医療研究会などで国際医療を考える機会に周りの人たちとともに共有していきたいと思う。

今回、貴重な機会を与えてくださった方々、また陰で支えてくださった方々に心から深く感謝申し上げます。

 

 

 

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