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5. まとめ

前節までに述べた要素研究の成果をまとめると、主なものは次の通りである。

1) 環境負荷低減技術の研究

・低NOx燃焼器;"希薄予混合・予蒸発燃焼+追焚き燃焼方式"を用いた乾式低NOx燃焼器の開発研究を実施し、燃焼器試験において、目標とするNOx排出量1g/kWg以下を達成した。2,500kW実験機(以下実験機)で目標達成の見通しを得た。

2) 燃費改善技術の研究

・高効率圧縮機;高効率を目標とし"軸流4段+遠心1段形式"の圧縮機を研究開発し、圧縮機性能試験においてV型、F型ともほぼ目標性能を達成した。なお、実験機では、この結果を基にさらに性能改良した圧縮機を設計・製作する。

・高性能冷却翼;タービン入口温度1,200℃で、翼の最高メタル温度900℃以下を目標にガスジェネレータ・タービンの動・静翼を対象に研究を実施し、冷却性能試験で目標達成を確認し、実験機で目標達成の見通しを得た。

・小型高効率熱交換器;小型で高温度効率(83%)を目標にプレートフィン型熱交換器の研究開発を実施し、部分段性能試験により、温度効率、圧損とも目標値を達成を確認し、実験機での目標達成の見通しを得た。

・また、ガスジェネレータ・タービン、V型およびF型パワータービンについては、目標性能の実証は実験機による陸上試験によるが、いずれも解析的に目標達成の見通しを得ている。

3) 船舶対応技術の研究

・運転制御システム;舶用機関として急激な負荷変動対応、可変静翼最適制御を取入れた2軸再生式ガスタービンの運転制御システムの研究開発を実施し、シミュレーションモデルによる確認をし、SMGT運転制御システムを構築した。

・故障診断・運転支援システム;SMGT不具合発生時の診断・支援システムの開発を目的とし、事例推論による不具合原因の推定、ガスタービン性能劣化診断の機能を持つシステムを開発している(本件は継続実施中)。

・防食技術;塩水、燃料中の腐食成分に対して十分な防食性能を持つガスタービン部品材料の選定を目的に、各種材料(コーティング含む)について腐食比較試験を実施し、SMGTに最適の材料選定をした。

以上の結果を基に、現在、2,500kW級実験機を設計・製作中であり、この実験機を用い、SMGTの所期の目標達成を目指して、平成13年度後半から平成14年度末まで陸上試験を実施する予定である。

 

 

 

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