4. 陸上運転試験機及び試験設備の設計
SMGTは熱交換器を備えたガスタービンであるため、通常のガスタービンよりも複雑な構造となっている。また熱交換器はサイズ、重量の観点から、ガスタービン本体と別に支持する必要がある。さらに熱伸びの問題や、配管重量や熱伸びによる反力を受けた状態でのガスタービンの変形などの検討項目がある。これらを考慮して陸上運転試験機および陸上運転試験装置の設計を行った。
4.1 陸上運転試験機の設計
4.1.1 タービンロータ軸の危険速度評価
ガスジェネレータの軸危険速度解析を実施し(図4-1)、軸受スパンの短縮、軸の剛性強化等の対策を行うことによって、軸の危険回転数を常用回転域から十分引き離すことができた。
4.1.2 ガスタービンおよび熱交換器の支持方法
図4-2にガスタービンおよび熱交換器のサポート図を示す。ガスタービン本体は軸流圧縮機前方とパワータービン側面の2点で支持し、熱交換器は架台で保持する構造である。後方出力型ガスタービンであるため出力軸近傍のパワータービン側で位置決めを行い、出力軸の熱移動を小さくするよう配慮した。熱交換器についてもガスタービン側との熱伸び差を最小にするよう、架台高さや固定位置を決定した。
また、上記のようにガスタービンを2点支持した場合における撓みについても検討を行った。ケーシングの厚み、リブの形状を変えることにより圧縮機、タービンともチップクリアランスなどに問題のない剛性を得ることができた。(図4-3)
4.1.3 熱交換器配管による熱伸び吸収
熱交換器は運転中の熱伸びによるずれがガスタービンに対して小さくなる位置で支持した。それでも負荷投入中や、停止後などの過渡状態では数mm程度の熱伸び差によるずれが生じるものと見込まれるため、配管間にフレキ配管を配置することで過渡的な熱伸び差を吸収できるような構造にした。図4-2に配管及び架台を示す。またこの構造においても傾斜、加速度等による強度・変形等に問題が無いことを確認した。
4.1.4 出力伝達機構
ガスタービン出力は、パワータービン後端よりカップリングシャフトによって減速機に伝達する(図4-2参照)構造とした。
4.2 陸上運転試験設備
陸上運転試験装置全体について基本設計を行った。SMGTの運転試験設備は大きく分けて2つのユニットに分かれる。一つはSMGTパッケージ゛で図4-4に示すようにSMGTガスタービン本体、熱交換器、減速機、水動力計を台盤の上に載せ、吸気室(吸気消音器付き)、吸気ダクト、排気ダクト(排気消音器付き)等を設けたパッケージをかぶせた構造とした。パッケージ内には補機類等の主要機器を配置して配管、配線等を行う。SMGTは陸上運転試験期間に何度もエンジン本体の搬入・搬出を繰り返して行う必要があるため、パッケージはGTの搬出搬入や点検を容易にするような構造とする。もう1方は計測室で室内には運転操作盤、制御装置、運転支援装置、監視装置、計測・性能解析装置、その他記録装置等が配置される。図4-5に運転試験設備の配置図を示す。
SMGT運転パッケージおよび計測室を川重明石工場内の屋外運転場に設置し、その間を配線、配管等で接続する。また、工場設備から配線配管工事等を行って、A重油、水、電気等の供給を行う。
4.3 まとめ
ガスタービン、熱交換器の支持方法、ロータ危険速度、ケーシング剛性、熱伸びに注目して、陸上運転試験機の設計を行った。また陸上運転試験設備の基本設計を行ってきた。
H13年度に陸上運転試験機や運転試験設備の製作を行い、陸上運転試験を開始する。