3. 冷却性能試験
部品温度と寿命の予測のためには、タービンの動静翼表面の熱伝達率分布を正確に予測することが重要である。基本設計において決定された翼形状、内部冷却方式について、伝熱試験、可視化試験などによって種々の計測を行い、冷却性能の検証と改善を行った。
3.1 冷却性能試験
装置の構成、外観を図2.2.1-12、図2.2.1-13に示す。本装置は、マッハ数、レイノルズ数、冷却空気温度比等のパラメータを実機条件に近い状態にコントロールした環境下で、試験模型翼の温度分布を計測することにより、実機での温度分布を推定する。試験に用いた動翼の模型翼を図2.2.1-14に示す。模型翼内部には、実機と同様の冷却構造が精密切削により加工されている。
試験から推定したメタル温度分布を図2.2.1-15、図2.2.1-16に示す。静翼、動翼ともに設計に用いた冷却流量および冷却効率が適切であり、設計メタル温度以下となることが確認できた。
3.2 内部冷却可視化試験
内部冷却可視化試験においては動翼内部の冷却ダクトを2倍に拡大し透明なアクリル樹脂で模型を製作し、翼内部の冷却空気の流れを観察する。図2.2.1-17に油膜法による流線の観察結果を示す。翼後縁部に一部流れの偏りが認められたので、内部冷却通路の形状変更を実施した。
3.3 フィルム冷却性能試験
フィルム冷却部のフィルム冷却性能を確認するために試験を行なった。試験により前縁フィルム冷却孔の流量係数およびフィルム冷却効率を計測した。図2.2.1-18にテストセクションを示す、模型は倍率2倍のアクリル樹脂製模型を用いた。
赤外線カメラによるフィルム冷却効率分布の可視化結果を図2.2.1-19に示す。試験の結果フィルム効率は、設計で想定した値を満足することがわかった。また、流量係数の計測の結果、流量についても設計値が確保できることが確認できた。