はじめに
かけがいのない地球環境を守るため、いま、あらゆる分野で多くの努力が続けられております。海上輸送の分野でも、平成5年に運輸技術審議会が「新時代を担う船舶技術開発のあり方について」の答申をまとめ、環境への負荷の少ない舶用ガスタービンシステムの開発に積極的に取り組む必要があると提言しました。政府はこの答申に基づき、平成8年、ガスタービンをベースにした環境低負荷型舶用推進プラントの研究開発の推進を図ることになりました。
一方、平成9年にはIMO(国際海事機関)において、船舶エンジンの窒素酸化物(NOx)の排出規制を定めた議定書が採択されるなど、国際的な共通課題として環境問題への取り組みがなされております。
このような状況のもと、ガスタービンに実績のある5社が、平成9年4月、スーパーマリンガスタービン技術研究組合を設立し、環境低負荷型舶用推進プラントを実現すべく、従来の概念をはるかに超えた低NOxで高効率な次世代型の舶用ガスタービン(スーパーマリンガスタービン)の研究開発を6ヵ年計画で行うことになりました。
当技術研究組合は、平成9年度に基本計画を策定し、平成10年度から平成12年度にかけて、この高い開発目標を達成するために、様々な要素技術の研究に精力的に取り組んで参りました。
幸いにして、これらの要素研究は、個々の研究目標をほぼ達成して平成12年度に完了致しました。これにより、目標とする低NOxで高効率な次世代型の舶用ガスタービン開発に、明るい見通しを得ることができました。
ここに当技術研究組合の平成12年度までの研究成果をまとめ、ご報告申上げます。今後は、これまでの研究成果をもとに2,500kW級の実験機を製作して、最終年度の平成14年度にかけて陸上試験を実施し、最終目標を達成することにしています。
最後になりましたが、本プロジェクトに対し、日頃格別のご指導、ご支援をいただいている国土交通省、運輸施設整備事業団、日本財団、その他関係各位に対し、この機会を借りて心よりお礼申し上げます。
平成13年7月
スーパーマリンガスタービン技術研究組合
理事長 田害躙オ