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事業の実施状況II. [地域伝統芸能公演 その他]

 

8月10日(木) 開催記念公演第一部 旭川市民文化会館大ホール

開催記念公演第二部 常磐公園特設舞台

司会 吉川精一(アナウンサー)

杉浦圭子(NHKアナウンサー)

 

開催記念公演第一部は、アイヌの楽器「ムックリ」のBGMのもとで、北海道の歴史を紹介するスライドと語りが入ったオープニングに続き、昨年の第七回地域伝統芸能を受賞した3団体の演技から始まった。幕が上がると大分県大分市の鶴崎(つるさき)おどりであり、華麗な踊りは観客を魅了させた。続いての千葉県佐原市からの佐原囃子(さわらばやし)は、囃子方の人数も多くまた使用する楽器の種類も多く、さながら和楽器のシンフォニーである。秋田県羽後町からの西馬音内(にしもない)盆踊りは軽快なテンポの秋田音頭の囃子と、彦三(ひこさ)頭巾や端縫(はぬい)の衣裳の踊り手の優雅な踊りは好対照であった。もう一つの地域伝統芸能大賞受賞者である福井県三国町の三国祭山車人形製作者の岩堀薫氏については、スライドによりその製作の様子が紹介された。第一部の最後は地元北海道を代表して雨竜町の雨竜町獅子神楽(うりゅうちょうししかぐら)である。これは明治以降の富山県から移住してきた開拓者により伝承されているもので、獅子の動きの激しさに驚かされる。

開催記念公演第二部は会場を移し、森の緑に囲まれた常磐公園の特設舞台で行われた。お迎えの太鼓、北海道当麻町の当麻蟠龍太鼓(とうまばんりゅうだいこ)が鳴り響く中、高円宮殿下ご夫妻が会場に到着されて着席なさると、北海道札幌市の丘珠(おかだま)獅子舞が始まった。これもまた富山県からの開拓者により伝承されたもので、胴幕(かや)の中に頭の他7人も入る百足獅子で、スケールの大きい舞に圧倒される。

続いては各地で祖先より伝承されている伝統芸能である。宮崎県高千穂町の高千穂夜神楽(たかちほよかぐら)は四方に柱・榊を立て、注連縄を張り、御幣・彫物(えりもの)を下げた中で舞ったが、やはり伝統の重さを感じさせた。次は北海道を代表する旭川市のアイヌ古式舞踊である。素朴な歌と踊りだが、アイヌ民族の自然への畏敬の念、アイヌ民族文化の伝統と誇りを感じさせられた。、石川県輪島市の御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)は一つの太鼓を6人の打ち手が代わる代わる、或は一緒に打つのだが、一つの太鼓ながらもその迫力に圧倒された。

次は北前船によって北海道に伝承された伝統芸能である。長野県軽井沢の追分馬子唄(おいわけまごうた)は、日本各地にある「○○追分」と名のついた民謡のルーツである。この馬子唄が追分宿の飯盛女たちに座敷で歌われるようになったのが「信濃追分」で、長野県から新潟県に伝わり越後追分(えちごおいわけ)となり、さらに北前船により北海道江差町に伝わり江差追分(えさしおいわけ)になったのである。それぞれの歌手が朗々と歌い上げる美声に観客は酔いしれていた。最後に3団体が1コーラスずつメドレーで演奏し、その共通点や違いをあらためて感じさせた。

1日目最後の演目は阿波踊り(あわおどり)である。軽快なテンポで賑やかなお嘘子に乗った踊り手が登場してくると、観客たちも体を揺らし始め、舞台上では出演者全員が勢揃いし、フィナーレを迎えた。勢揃いした出演者の中にも踊りだす者もおり、会場全体の雰囲気も華やかに大いに盛り上がり、この日の終演となった。

 

 

 

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