事例17
同僚の死亡事故を目撃してパニックに陥った事例
48歳、男、某県某市のゴミ焼却場職員
職員10名余りの比較的小さな職場で、現場職員は本人を含めて6人。
ある日、いつものようにゴミ焼却の作業中に、同僚が誤って焼却櫨に転落、すぐに事務所等へ連絡しましたが、救出不可能でその職員が死亡しました。
この事故の様子やその職員が労働災害と認定されたこと自体は、この事例と直接関係はないのですが、この事故を目撃した本人は、恐怖の余りパニック状態に陥りました。
身体の震えがとまらない、立ってもいられない、目はうつろになるほどの状況を呈し、当然のことではありますが、ともかく周囲が急いで病院へ連れて行き、鎮静剤の注射や投薬の処置を受けさせ、自宅へ帰しました。
その後も本人は事故のことが目にちらついて、どうしていいのかわからず、睡眠薬を飲んで寝てもうなされるというような状況が続きました。自分の不注意で同僚を死なせたのではないかと自分を責めたりする言葉も出てきたりしました。実際は、本人には全くこの事故の責任はないわけですが。
病院へも通院し、投薬やカウンセリングを受け、2ヶ月ぐらい経ってやっと落ち着きを取り戻しました。
考察
この事例は、PTSDの中に入れてよいかと思います。通常、数ヶ月で一応落ち着きを取り戻すもので、この本人も大体このような経過をとりました。
問題は、この後の本人の職場をどうするかということになるでしょう。相当強固な意志の持ち主でも、このような突発事故のあと同じ職場で働くというのは、難しいことのように思います。