事例16
職場のストレスから狂言強盗事件をおこした事例
32歳、男、某省庁の外部団体職員
某省から出向して3年近く、妻と子供2人家庭的な問題はありません。
仕事は、その団体の管理しているいくつかの職との連絡や会計、計理などの調整などでした。
もともと営利事業ではありませんし、職員数が限られている一方で、仕事量が増加してきて、極めて忙しい毎日となっていました。
平日は、夜10時、ll時に帰宅することも珍しくなく、土曜、日曜は原則休日ではありましたが、土曜日などは臨時の出勤もまれでないというような状況でした。たまたま、会計監査が近いということもあって、益々多忙を極めていました。
本人は疲労を感じて、少し休みたい、仕事量を減らしたいと思っても、周囲の様子などをみていると、とても上司に申し出られるような雰囲気ではありませんでした。
そうしているうちに、ある日の夜、職場から帰ろうとしたところへ、暴漢が侵入、本人の左腕に刃物で傷つけ、財布を奪われたと、本人からの110番がありました。警官が駆けつけ、上司も連絡があってすぐに職場へやって来ました。
ところが、警官が事件の状況をいろいろ聞いているうちに、どうも話しのつじつまの合わないところが多く、犯人の様子を聞いてもあいまいで、警官も首をひねっていましたが、結局、問い詰められて、仕事が忙しくて疲れたが、とても休めそうにもない。強盗に襲われてけがをしたら休めるのではないかと思って、ついこのような、うその強盗事件にあったことにしてしまいましたと供述しました。
警察としては、人騒がせなことではありましたが、確かに本人も疲れていたようだし、他に実害もないので、本人と上司に強く注意をして事件とはしないということで収めてくれることになりました。