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事例9

営業の仕事が苦手でパニックに陥った事例

 

23歳、男、薬品会社社員

某私立大学薬学部を卒業、薬品会社に就職

 

本人は研究開発の仕事に従事したいとの希望をもち、就職の際にもその旨申し出ていました。

たまたま、会社の人事配置の都合で、将来のことはともかく、とりあえずは営業関係の仕事を命じられました。

主として得意先回りの仕事を、はじめは先輩職員について回り、半年後には一人でするようになりました。

本来、内向的で口下手、余り社交的ではない性格のためもあってか、なかなか仕事が円滑にいかず、本人も次第に苦痛を感じるようになってきました。当然、営業成績も思わしくなく、しかし、そのことについては特に責められるわけではなかったのですが、本人は大変気にしていました。

このような状況の中で、本人は次第に仕事に対する意欲も低下し、営業に出るのが嫌になってくる状態となってきました。

更に、自分でもどうしていいのか分からないような精神状態となり、気が付くと、関係のない場所を歩いていたり、突然泣き出したくなったり、大声を出したくなったりすることがあり、仕事も休みがちとなりました。

上司がそれとなく本人から様子を聞いたり、やわらかく注意をしたりしました。それがきっかけとなってか、出勤しなくなり、自宅の自分の部屋に閉じこもり、眠れず、食事も取れなくなってしまいました。母親が心配して、知人の精神科医に相談したところ、本人を連れて来るように言われて受診しました。

 

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