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でも、自分にはどちらもできませんでした」と、大手メーカーの設計部門で働くTさん(38歳、係長)は訴えました。

Tさんは最近、顔や首の周りに湿疹ができて、いっこうによくなる気配がありません。しばらくすると、ほとんど眠れないという状態にまで陥ったので会社の医務室を訪ねたところ、医師から「これはストレス症状だから、カウンセリングを受けるように」と勧められたといいます。

Tさんは、上司から自分は認められていないことを、このところの評価から実感していました。Tさんの評価を行うのは、この職場にどうしても必要な人材と高く評価され異動してきた直属の上司(40歳、室長)とその上の上司(48歳、次長)です。直属の上司は、上に対して気を遣い、上からの受けがよく、二人はしょっちゅう一緒にお酒を飲みに行くという仲だという評判でした。部下から見ると、直属の上司は、確かに仕事はできるが組織を束ねる力か弱いといいます。結局、Tさんがマネージャー業務の多くを引き受けることになり、設計の仕事と両方で負但は重くなりました。にもかかかわらず、そうした面を正当に評価してもらえていないというのです。

「これまでも、上司との関係で悩んだことはありましたし、サラリーマンにとってはそう珍しいことではありません。今回も、今がそういう時期なのだと割り切って乗り越えようと思っていました」とTさんは言います。しかし、評価が低いということは給料や賞与にもろにはね返ってきますから、やはり家族を抱えた身としては深刻でした。

 

「短時間の面接だけで評価が決まることへの不安」

最近、Tさんは上の上司(次長)と評価面接が行われた機会に、上の認識を少しでも変えてほしいと考えて、自分の仕事の状況や日ごろ悩んでいることを思い切って話そうとしました。この上司はいくつもの仕事を兼務していることもあってほとんど席にいなかったので、職場の問題を把握できる状態ではありませんでした。

 

 

 

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