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御所浦火の用心会(ごしょうらひのようじんかい)

代表 浜本幸人(はまもとゆきと)

(中学生 熊本県天草郡御所浦町)

濱本好史(はまもとよしふみ)

(小学生 熊本県天草郡御所浦町)

 

昭和29年から始まった夜回りを受け継き、二人で毎日欠かすことなく地区内を約1時間かけて回り「火の用心」を呼びかけている。地域の防火意識の向上にも貢献し、最近では平成8年に1度火事が起きただけにとどまっている。

熊本県天草郡御所浦町の本郷地区を小中学生2人が、雨の日も風の日も年中欠かすことなく「火の用心」の夜回りをし、弟や友人へ受け継いで46年間続けている。

この夜回りは、昭和27年2月御所浦町牧島地区で子供の火遊びから18戸が全半焼する大火があり、その燃えさかる炎を対岸の本郷地区からみていた子供達が、ちょっとした火遊びから皆の大切なものが一瞬にして灰になってしまう火事の恐ろしさを痛感して自分達にも火災予防の何かが出来ないだろうかと、小さな胸を痛め子供達が自ら考えて昭和29年から始めたものである。

現在、浜本幸人君(中学3年生、夜回りを始めて6年目)と濱本好史君(小学校5年生、今年の4月から開始)の2人で、午後8時30分頃から「カチ、カチ」という拍子木の音にあわせて「火の用心」と呼びかけ、地区内を約1時間かけて回っている。

子供達の一心は途中くじけることなく、また、風雨の悪天候にもめげることなく46年間受け継がれ、その間、地域住民から「子供が火災予防に毎日頑張っているのだから、大人も何かしないと」との意識が生まれ、昭和57年に本郷地区婦人消防隊が結成され、更には地区全般の防火意識も高まり、この20年間本郷地区での火災は、平成8年に発生した建物火災1件である。

昨今叫ばれている「自主防災」の基本理念である「地区の防災(防火)は自分たちで守る」という活動が、46年前から子供達の手で行われていることも意義深いものがある。また、ひとつのことをやり抜くことの大切さを体験することにより、その精神が社会人になってからも地域のために生かされている。

(川口義広 推薦)

 

 

 

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