「選考を終えて」
選考委員(上智大学教授)
アルフォンス・デーケン選考委員
9月に開かれた平成12年度の表彰選考委員会には、今年度から犬丸一郎氏が選考委員に加わられ、6名で厳正な選考を行いました。昨年度と同じように、各委員の自由闊達な発言が飛び交い、大変楽しい雰囲気の中で、真剣に長時間の討議を重ねた末に、推薦件数208件の中から、24件が選ばれました。
内訳は、緊急時の功績5件、多年にわたる功労15件、特定分野の功績4件(国際協力賞2件、21世紀若者賞2件)ということになります。
緊急時の功績によって受賞された方々のうち、2件3名の方は、それぞれにご自分の命を捨てて他者の命を救われました。その献身的な行為は、とっさの場合、決して誰にでもできることではありません。遺されたご家族の悲しみを思うと、せめてこの賞が、立ち直られるためのお心の支えの一端になりますようにと、お祈り申し上げます。
今年度から新たに、特定分野の功績に対して、国際協力賞、ハッピーファミリー賞、21世紀若者賞の3賞が設けられました。結果として、国際協力賞と21世紀若者賞には、それぞれ2件が選ばれましたが、ハッピーファミリー賞は該当者なしということになりました。新設の賞が世間に知られて、多数の候補者が推薦されるようになるまでには、多少の時間がかかります。この賞にふさわしい受賞者が出てくるのを、じっくり待ちたいと思います。
国際協力賞は、日本人や日本の国に貢献してくださった外国人を表彰するという点に、対象をしぼった賞です。今年度のタイの漁船乗組員の方々については、委員全員が賛成でした。キルギス人の通訳の方についても、ほぼすんなり決まりました。日本人の国際的な活動が活発になる中で、今後この賞の候補者も増えてくることが期待されます。
21世紀若者賞は、若者の社会貢献を盛んにするための奨励賞的な意味合いを持つと考えられます。今年度の2件は、いずれも若者の自発的な企画で始められ、長年継承されてきたボランティア活動に対してです。最近では、青少年の凶悪犯罪ばかりがマスコミを賑わしていますが、その一方で、黙々と他者のために協力を惜しまない若者たちの存在を、この賞を通じてもっと世間に伝えたいものです。