このたび、「第4回日本太鼓全国フェスティバル」が、わが国ではじめて開催される民族文化の世界的な交流の祭典「第2回C.I.O.F.F.ワールドフォークロリアーダ」とともに開催される運びとなりましたことを心からお喜び申し上げます。
ユネスコではいま、世界文化遺産の指定などの、世界の有形文化財の保存運動が行われています。ユネスコの諮問機関であるC.I.O.F.F.(国際民族芸能組織委員会)の公式行事であるワールドフォークロリアーダは、もう一方の地球の文化財産である世界の無形文化遺産の継承に貢献すると共に、世界の人々のお互いの文化に対するより深い理解の促進を目的とするものです。
この開催には、大きく2つの意義が存在します。まず、文化を通して人々が世界の様々な民族のこころや価値観を広く知り、認め合う良い機会になるということ。また、国際化という現代社会の動きの中で、私たち日本人の持っている固有の文化を今一度ふりかえると共に、世界の固有の文化を大切に育んでいこうとするこころを認識するための機会になるのではということです。GNPやGDPという世界共通の尺度による豊かさとは別に、多様な生活の中にこそ人間の本当の豊かさが存在するということを見いだす機会になるのではないかと思います。
わが国の伝統芸能として今日に継承される太鼓は、伝統の継承にとどまらず、いま生きる人々の歓声を自由闊達に表現した固有の芸能として、国境を越えて世界中の人々の心を魅了しています。ワールドフォークロリアーダとともに開催されるこの大会は、太鼓を通してわが国文化の伝統と現代の姿を広く世界に紹介するとともに、民族の芸能が蓄えた活力が、新しい世紀の芸術を創造していく大いなる力となり得ることを世界中にアピールする貴重な機会となるものと確信しております。
大会のご成功をお祈りいたしますとともに、(財)日本太鼓連盟、ならびに全国の太鼓団体をはじめとする関係者の皆様のご尽力に深甚なる敬意を表します。