宇宙から初めて地球を眺めた人、ガガーリン(一九六一年)は『地球は青かった』と実感しました。それは地表を被う雲が少なく、青い海面が見えたからです。地球はその表面の約七十一%を海洋が占めている海の星です。この海の星の生い立ちを辿ってみましょう。
地球が出来始めたのは、およそ四十六億年前でした。生まれて間もない太陽の周辺で、小さな天体(直径十km程の微惑星)の衝突合体が繰返し行なわれ、次第に大きくなりました。大きくなるにつれてそれ自身の引力も大きくなり、小天体の衝突は益々激しくなりました。その結果、衝突した地表では溶岩の湖が沢山でき、そして遂には溶岩の海、マグマ・オーシャンが広がりました。このマグマ・オーシャンを生んだ隕石群には、多量の水を含んだものも沢山あって、衝突して溶けたとき、高温の水は蒸発し、他の気体と一緒に原始大気となりました。一方隕石に含まれた鉄などの重金属も溶けて、マグマ・オーシャンの底すなわち地球の中心へと沈んで行きました。やがて衝突する隕石が少なくなってゆき、熱い原始地球は次第に冷え始めました。そしてそれを取り巻く原始大気も冷えてきて、雲が湧き雨が降り始めました。更に冷えると雨は豪雨となり止むことを知らず、あらゆる低地に流れ溜まり、殆どの地面を覆い尽くして原始の海が生まれました。この様にして天体衝突、マグマ・オーシャン、長い豪雨連続を経て、水の星が誕生しましたが、この間およそ二億年かかったと考えられています。
☆原始の海のその後
原始の海の成分は雨水に似ていたと思われますが、蒸発しては雨が降り、陸地を流れて海に戻ることを繰り返して、十数億年の間には、ほぼ現在の海水の成分を含むようになりました。その頃すでに海には生命が誕生しており、海の中で静かに進化を続けていました。オーストラリアのノースポールで発見された生物化石は、三十五億年前の物と推定されています。このようにしてできた原始地球の、海や大陸の形や分布は、少しずつ休まずに移り変わって現在の海陸の形になり、今後も変り続けてゆくわけですが、海水に含まれる成分は、三十億年前と殆ど変わっていないようです。海の中で創生し進化してきた生物の化学組成は、現在の海水の組成と、大変よく似ています。人の血液が海水の塩分濃度と似ているのも、こうした関連の証明なのです。
ところで何十億年も海で進化を続けてきた生物が、今からおよそ四億二千万年前になると、陸上に進出する事が出来るようになりました。それには次下のような訳があります。まず海の中の原始の藻類が、何十億年も酸素を造り続けた結果、大気中にも酸素が増えました。そこで強烈な太陽紫外線が、その酸素に作用して、大気の高層(地上二〇km〜三〇km)にはオゾン層が生まれました。そのオゾン層が、生物に有害な強紫外線を、海水に代わって吸収してくれるようになったのです。そうなる迄は、陸上では太陽光線に含まれる強烈な紫外線(UVb)のため、陸上で生活することは不可能でした。こうして、陸上で空気中の酸素を呼吸する動物を含めて、地上で生活できる生物環境を創り整えてくれたのは、海の植物たちの、長い長い活動のお陰なのです。こうして地球上の生命は、まず海で始まり、酸素が増えてオゾン層が出来て、安全な環境が陸上にも整ったので、現在のような沢山の動植物が栄えてきました。