【我が国の国際協力の仕組み】
総務部国際課国際協力係
行地明男
1. はじめに
現在、我が国は、さまざまな国際協力を行っているが、この項では、ODA(Official Development Assistance:政府開発援助)の概要、海上保安庁がODAにより行っている国際協力の概要について取り上げる。
2. ODAの概要
(1) 目的
ODAとは、政府から途上国の政府を通じ行う援助を指し、経済開発や福祉の向上を通じて、国民の生活向上に役立つことを目的としている。
(2) 必要性
ODAが必要とされる理由は数多く考えられるが、日本が重視する理由は、次の6つである。
・日本の総合的安全保障を確保する。
ODAを通じて途上国、特に東アジア地域の経済不安に対して、その要因の軽減に貢献することは、結果的には日本の安全保障にもつながる。また、日本は食糧・エネルギーなどの資源を諸外国、特に途上国に大きく依存している。
ODAを通じて途上国との友好関係を深め、途上国の平和と安定を図ることは、資源の安定的供給確保の観点からも非常に重要である。
・ODAがもたらす途上国の経済発展は、日本の経済的利益になる。
東アジアの飛躍的な経済発展は、輸出市場・投資先の拡大という大きな利益を日本にもたらした。このような東アジアの発展には、日本のODAが大きな役割を果たした。アジアをはじめ世界各国の発展を今後とも持続していくために、ODAは依然として必要である。