伊藤竹外先生プロフィール
愛媛漢詩連盟会長、(16吟社、会員200名、毎月指導、添削)、六六庵吟詠会総本部会長(吟歴58年)、財団公認愛媛県吟剣詩舞道総連盟理事長、財団法人日本吟剣詩舞振興会理事
平成5年 文部大臣地域文化功労賞
平成8年 財団吟剣詩舞大賞功労賞
著書 豫州漢詩集(編著)、南海風雅集(編著)(2版)、漢詩入門の手引き(9版)他。
一、老齢化意識を改革しよう
先日、本誌讀者の方より「漢詩入門の手引き」を注文され、追々と老化のすすむ六十九歳の私のような者でも漢詩が作れるようになるでしょうかという手紙を頂きました。
今、全国の吟詠人口の平均年齢は青少年の育成難と相俟(ま)って年々上昇し、期待の新人は停年退職後の六十歳台の人が多く、指導者層では七十歳を超えていると思います。
かつて浮世繪師六代目の歌川豊国さんが九十三歳の時、桃山高校の定時制に入学した意気軒昂ぶりを紹介しましたが、昨年無事卒業して近畿大学法学部に入学して更に勉強中で、次には博士号に挑戦するという新聞記事を拝見しました。
又、愛媛の戦盲の原田末一さんは昨年百三歳で亡くなられましたが、昭和十二年の日支事変(日中戦争)で銃創による両眼失明の重傷を負いましたが、苦難の日夜を乗り越えて俳句を学び、八十歳から書道も学び更には社会福祉事業に挺身されていたと聞きました。
これらの人達を考えればまだまだお互に三十年は勉強し活躍する予地があります。
精神の豊かさ、気力、根気の心は無くなるものでなく年々増えて行くものだと誰かが言ったことを思い出します。本稿愛讀者の研鑚を大いに期待する所以であります。
二、課題詩「望〇〇瀑布」について
北海道から九州に至る全国各地の名勝地の瀑布を詠じた詩稿ながら私は殆んど実景を見た経験は少なく僅かに日本語大辞典と投稿者の数行の紹介の記事を参考にして結構楽しみながら拝見しました。唯、事実をありのまま表現するのと芸術的感覚を以って作詩技術を活かす表現は違います。添削しながら痛感しました。
本欄は初学者講座ですからあまりむつかしい理論は述べず初学者が誤り易い例をいつも参考に供していますが、実はかなり詩歴のあるらしき者もこれまで指摘されなかったのか簡単な間違いを毎月発見します。例えば
(イ)送り假名のつけ方