4 コメント
現地調査で感じた藤沢町のUIターン行政の印象は、同町が掲げる地域づくりの基本理念とターン施策とがしっかりと結合して成果をあげているということである。
(1) 積極かつ慎重〜UIターンへの同町の取り組み姿勢は、前述のように「積極的に取り組んでいる」であり、「今後も積極的に取り組んでいく」である。アンケート調査でも「積極的」に○印を付けている。
しかし、UIターン自体には積極的である一方で、慎重さもうかがえる。ターン者が、例えば新規就農希望なら、農業者として適切な人かどうか、企業就職希望者なら雇用に適格な人材かどうか、の判定、選別を重視している。要するに、UIターンについての藤沢町の取り組み姿勢は、単なる「積極的」ではなく、「積極」かつ「慎重」という印象を受ける。この点は、東和町の場合とほぼ同じであると思われる。
これからの過疎政策の方向性は、新過疎法の名称にもあるように「自立促進」である。そして、そのキーワードは“人”である。「地域づくりは“人”」ということが改めてクローズアップされてきた。
その意味でも、UIターン行政でターン者の“人”の選別を慎重に行っていることは、都市と農村の交流、広域連携をめざす同町の自立促進施策と合わせ、的確、適切な行政判断と思われる。
また、同町はUIターンの効果として、ターン者の新しい価値観が地域活性化の刺激剤になることを重視しているが、これも“人”を重視する視点から生まれたターン評価であろう。
「地域づくりは“人”」という基本とターン施策が理念的にしっかり結合している。面接調査したターン定住者の人たちの話の端々からも、ターン行政の果実のようなものが感じられた。
(2) 行政の対応の大切さ〜藤沢町でも、ターン定住者の面接調査の中で、「役場の窓口担当者の対応の良さが定住を決心する決め手になった」という述懐の声を聞いた。東和町に続いてのことなので、ことさら強く印象づけられた。行政の接遇の適切さ、温かさがターン希望者の定住を決定づける重要なポイントとなることは、明らかである。行政の対応は、ターン者への具体的な支援策を含めて、一般的に考えられている以上に、定住決心に大きい効果がある。
行政窓口の対応が適切さを求められるのは当然のこととして、現実にその親切、温かさがターン希望者の意思を決定的にしたということは、高く評価されていい。
(3) 協働のドラマ〜UIターンのキーワードは“人”である。ターン定住決定までのターン者と地域との相互選別を経て、地域コミュニティに融け込み、地域活性化への刺激剤にもなるというターン定住のドラマは、ターンする人と受け入れる人たちとの協働のドラマである。地域の未来を決めるのは、そういう人たちの地域への愛だろう。
地方分権時代を迎え、地域自立へ向けて住民の主体的な地域活動が問われている今、“人”重視のUIターン行政が非常にいい形で展開されている。
<参考文献>
・藤沢町過疎地域自立促進計画(平成12年度〜平成16年度)
・「新鮮王国」(藤沢町新規就農者支援システム紹介パンフレット)