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4. まとめ

深層水を調合希釈して生成した「鮮度液」を使用し、幾つかの観察項目について回復効果が検証された。特に炎症性の回復に注目してCCDによる観察を可能にする皮溝や皮紋の方向性と規則性及び皮膚の色調、血流、代謝活性殻、回復度を観察した。

観察結果は、総合的なスコアから回復度として5段階A、B、C、D、Eに分けて推測した。Aが最も良い性状であり、良い回復度と見なした。従って、実験開始の皮膚の性状は、夏の時期(8月下旬)における軽度の紫外線炎症をEないしDとして行った。

「鮮度液」(図中の□、○、△)との対照として単純な脱イオン水(図中の■、●、▲)の双方の塗布を比較した結果、10日間以降の継続的な塗布を行った「鮮度液」では、男性(3名)、女性(2名)とも明らかなAないしBへの回復効果が見られた。一見、男性の方(図2-97)が女性(図2-98)より効果が有るように見受けられるが、これは実験開始時に男性試験者の日焼けが強いためと見られる。

日光浴がビタミンDの補給などに良いとされたいた時代に比べ、栄養状態の良い現代の食生活では紫外線の浴びる危険の方が大きいと言われている。

紫外線は、肌に当たると皮膚表面の脂質が変化して表面近くの細胞を破壊し炎症を起こさせる。また、紫外線が皮膚の中まで入るとシミやそばかすの原因になる。これを防ぐため、皮膚は色素のメラニンを放出して肌を黒くする(日焼け)。

日焼けの度合いは、各個人が元々持っているメラニンの量によって変わる。日焼けにより、皮膚は赤くなると炎症を起こしている証拠であり、皮膚の水分が少なくなっているため、水分の補給が必要となる。日焼けの原因となる紫外線には波長が比較的長いA波(皮膚への浸透性が強く、深いしわやたるみの原因となる)と、波長が比較的短いB波(肌の表面を赤くして日焼けを起こす)がある。更に、肌が太陽光線にさらされると、メラニン生成細胞はメラニン色素を増やし、紫外線から皮膚を守るように働く。メラニンが一カ所に固まって出きるのがシミなどの色素斑であるが、紫外線によりメラニン生成細胞が増殖しガン化する恐れがある。これが黒色腫であり、皮膚ガンの7人の死者のうち6人が黒色腫患者と言われている。「鮮度液」の薬学的効能については現在解明中であるが、「鮮度液」の成分が皮膚のケラチノサイトばかりでなく、深く皮膚の血流にも良い効果を及ぼし回復を促進しているものと見られる。現在、皮膚組織の培養によりin vitroのモデルを構築し、ケラチノサイトを含めた細胞増殖機構に係わるサイトカインの動向に「鮮度液」がどのような影響を与えるのかを検討中である。

 

 

 

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