揚水確認の際の取水管出口海水温度は、管内流速が遅く、長い1400m系の温度が600m系の温度より1.5℃高く交換熱量が大きくなっている。
5. 維持・管理
5.1 「海ヤカラ1号」の健全性の確認
平成12年9月4日に「海ヤカラ1号」を再設置した直後の9月8日には台風15号が沖縄に接近し、続いて9月14、15日には台風14号が沖縄を直撃した。この時の海上は、風速60m/sec、波高13mと予報されたので取水管システムの健全性にが懸念された。
暴風、高波浪に遭遇した場合にはブイ本体は没水して過大な動揺は回避できるものと考えられるが、水粒子の軌道運動によって取水管が煽られた場合には被害を受ける可能性がある。
「海ヤカラ1号(改造前)」の台風遭遇後の状況は、揚水流量の増加が顕著で取水管出口海水温度が表層水温度と大差がなくなっている状況から取水管損傷を予測した。その後取水管を回収して調査した結果損傷個所を確認した。
これまでの反省から「海ヤカラ1号(改造後)」では損傷の可能性を低減するための改良を施しているが、台風通過後には揚水試験を行って取水管システムの健全性を確認した。
平成12年9月19日、台風14号通過後はじめて設置海域において「海ヤカラ1号」の調査を行った。結果は以下の通りである。
(1) 作業ポイント、投錨点
作業ポイント 北緯25度48.830分 東経 127度44.710分
投錨点 北緯 25度48.229分 東経 127度44.002分
(2) 設置海域の気象・海象
風向 北東
風速 7→10m/s
波高 2→2.5m
潮流 南西へ1ノット
天候 うす曇
(3) ブイの状態
喫水 1.9m(乾舷0.5m)
傾斜 ほぼ直立