上記の計算結果によれば、潮流2.5ノットにおける係留系構成品の最小安全率は5.0であり設計条件を満足している。また、暴風時の表層潮流3.5ノットにおける係留系構成品の最小安全率は3.1である。数回の台風、強い季節風による高波浪に遭遇してきた「海ヤカラ1号」の係留系の使用実績に加えて強度増強を実施して再設置しているので、この安全率は妥当と考えられる。
ブイが潮流に流された場合の錨点からの移動距離は半径約1200mである。更に潮流が増したり、波高が高まるとブイは係留系に引っ張られて水没する傾向にあり、潮流3.5ノットの場合にはブイは完全に水没しており係留系が負担する外力の軽減を図っている。
3.3.4 係留システムの組立
係留システムの組立作業は、全長2075m、空中重量14トンの運搬作業をともなうために、設置工事用台船の甲板上に搭載した状態で実施して作業の合理化とシステムの保全を図っている。
改造前の「海ヤカラ1号」の運用実績から次の点を改善して組立作業を行う。
a) 係留系連結シャックルピンの固定部を補強して係留系の脱落を防止する。
b) 直径の著しく異なるテトロンSタフレロープとダンラインエイトロープの連結部は改良型特殊本目結び方式を採用して補強する。
c) ブイ設置後にチェーンの振れが戻るときに生じるブイの回転によって取水系が係留系に絡まるのを防止するために、チェーンに振れが生じないように留意して甲板上に配列する。
係留系の全体図を次ページ図2-10に示す。