3. 設計・製作
3.1 ブイの本体構造
3.1.1 一般
ブイ本体構造の役割は、海面下に展張された係留システム及び取水システムに作用する鉛直方向の荷重を負担するとともに、深層水取水作業用プラットフォームとして必要最小限の浮力を確保することである。
「海ヤカラ1号」の改造前の使用実績からみて、浮体構造には改造を必要とする事項は認められていない。ただし、もしサイフォン原理利用取水方式をする場合には大幅なブイ直径変更の改造を伴うことになる。
支持脚構造には、船舶又は大型浮遊物との接触によると思われる大きな変形、及び取水管が波浪や潮流により水中において大振れした時に接触の可能性のある形状であることが分かったので改造が必要である。
また、深層水自噴性能の改善及び高波浪時の「海ヤカラ1号」保護のために、全没しやすく、且つ洋上作業に支障ない範囲で予備浮力を最小とする。
3.1.2 ブイ本体の重量・重心
ブイの計画重量、重心計算値を表2-6に示す。ブイ本体、支持脚、マスト装置、艤装品及び金物、調整用重量毎に計算を行った。
完成したブイ本体の着水試験を実施して全体重量(排水量)及び傾斜が計画値を満足していることを確認した。計画値と実測値の比較を表2-7に示す。
本体のみの着水試験結果は計画値に対して、排水量の差で約100kg、縦傾斜の差が約4.2度前倒れとなっており、略計画値を満足していた。
縦傾斜は前倒れ状態にあっても係留系及び取水系を連結した状態で潮流を受ける場合には前倒れは回復する傾向にあって有利である。