“海ヤカラ1号”は、上図の自然の仕組みに漸近的な場合の最小の自由度を備えた深層水取水装置となっている。自然湧昇の仕組みが、深さの違うそれぞれの海水の混合にあると見た場合、混合のためには深度の違う海水が少なくとも2種類以上必要となる。
海ヤカラ1号は、深度の違う2種類の海水の取水にあたっては質的に異なる海水を取水すべく取水深度を設定した。そして質的な変化の分岐深度は、海水の微量元素等の濃度挙動が大きく変化する深度1000mを目標とした。
濃度挙動の変化(Iタイプ、IIタイプ)を満たすべく以下の取水深度に設定してある。深度600mの取水深度は、水産分野の栄養塩濃度の確保(硝酸態窒素濃度15μM/l以上)から設定し、深度1400mは、当時の沖縄県における深層水の試験研究を含む採水能力環境(県の水産試験場の調査船「図南丸」の採水器等を吊り下げるワイヤーロープの最長が1500mであった)が最深で深度1500mであり、深度1400mの深層水の基礎的なデータ(栄養塩濃度)が既に構築してあり、そのデータ活用の有用性からもう一つの取水深度を前述したように1400mに設定した。