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(3) 中国の中等学校の日本語学習者は1978年から急増し、1983年にはピークに達しましたが、その後減少傾向にあります。その理由は中等学校においては外国語は一科目であり多くの学校が「英語」を選択しているからです。

(4) 大学に於いて日本語を専攻する学生の分布は、東北三省、北京、天津で47%を占めています。とくに日本の経済進出・協力と言語の需要は密接な関係があります。

(5) 非専攻日本語(大学)の選択語としては、圧倒的に「英語」学習者が多く、第2位に「日本語」、以下ドイツ語、フランス語、ロシア語と続いています。第2外国語として日本語を学ぶ者が多いことが特徴的です。(やはり中国北東部が全体の4分の1強を占めています。)

(6) 中国の「成人教育」は、学校教育に従属したり、その補足的な存在ではなく、学校教育と同等の位置にあります(中国では『二本足で歩く』と表現されています)。成人教育には、職工大学、テレビ大学、全日制大学付設夜間大学、同通信教育部があり、いずれも全国成人大学統一入試を受けて入学し、卒業後は全日制大学と同等の資格を与えられます。

実態の把握は困難ですが、これらの成人教育の場にある人々が、日本語学習者の圧倒的多数を占めていると言われています。

 

3. 日本語教師の派遣

 

(1) 国レベルの派遣事業

日本語教育に関わる国レベルの機関には、文部省学術国際局企画課や留学生課、文化庁文化部国語課などがありますが、日本語教師の派遣には日本政府は直接関わっておらず、文部省と自治省の共同事業であるREX計画(Regional and Educational Exchanges for Mutual Understanding)によって、各地方自治体の派遣事業を財政的に支援するに止まっています。

地方自治体の派遣事業は、例えば神奈川、三重、長崎、奈良(2001年現在4県)の教育委員会の、友好提携地域の大学・学院への、現職教師1〜4名の「日本語教師」(現職のまま「研修」)派遣などがあります。

なお、国際協力事業団の「海外青年協力隊」派遣で、中国の大学・学院・高等学校で日本語教育を行っている者は、毎年50名程度の派遣者中、約半数のようです。

 

(2) 民間レベルの派遣事業

民間レベルで派遣事業を行っている主な団体は次の通りです。

 

(財) 日中技能者交流センター

 

1986年度から中国国家外国専家局との協定に基づき、日本語教師を派遣していますが、2000年までに、中国の大学・学院130校へ900名の派遣という実績を有しています。

 

 

 

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