それからもうひとつは、苦痛が長期間、慢性化すると、人は無力感に陥ってしまいます。自分はもうだめだという思いになってしまうのです。そうなると、他者とのかかわりを必要としなくなって、自分の殻の中に閉じこもってしまいます。ですから、正確な自己認識をすることによって、正しい自己ニーズの認識、つまり、かかわりの必要性を感じるようになる中で癒しの関係に入っていくことが可能になるということです。
援助者の真の姿勢−癒しの関係
援助者は、スピリチュアル・ペインを体験している人に対して、正確な自己認識ができるようなかかわり、そして、正しい自己ニーズ認識というものができるようなかかわりをしていくことが癒しの関係だということです。
しかし、癒しの関係が築けないと自覚していないのでは、偽りの援助関係になってしまいます。このようなかかわりからは、クライアントには癒しとは逆の結果を与えてしまいます。
1. 偽りの援助関係
援助者がスピリチュアル・ペインを体験している患者とのかかわりの中で気をつけなければならないことがあります。いろいろな問題を抱えて私のところに来られる方々の中で、カウンセリング講座等で学んだ専門的でないカウンセラーの援助を受けたというような人が来ることが少なくありません。それらの方々の話を聞いていると、いくつかの問題点に気づくことがあります。