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子育てネットワークと保育所

(財)児童健全育成推進財団 鈴木一光

 

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2. 現代社会と子どもの実態

(1) 身体の成長と発達の不均衡(少産良育思想、知識偏重、運動遊びの機会の減少)

(2) 日常生活における不器用(生活体験、家事労働、遊び、自然体験等の不足)

(3) 情報処理能力の欠如(テレビ・情報誌をはじめとする大衆文化の影響下)

(4) 社会との絆が細い(家庭が緊張の場、親の敷いたレール、日常のストレス)

(5) 対人関係能力が稚拙(核家族、少子化、受験加熱、カプセル文化等希薄な人間関係)

 

3. 子どもの健全育成の具体的目標

(1) 身体の健康増進をはかること(行動体力・防衛体力)→身体を動かしたくなる刺激用意

(2) 心の健康増進をはかること→自分の考えや感じたことを、自由に且つ充分に表現できる

(3) 知的な適応能力を高めること→可能な限りの知識を修得し、社会に適応した生活が営める

(4) 社会的な適応能力を高めること→家庭や集団生活の中でより良い人間関係を保ち発展させる

(5) 情操を豊かにすること(美的・合理的・倫理的・宗教的)→いろいろなことに気づく人

 

4. 子どもの発達課題(臨界期体験) IQよりEQ

(1) 乳児期〜2歳→母性(信頼と受容)⇒愛する=愛されて受け入れる(愛は学習)

(2) 3歳〜幼児期→父性(自由と限界)⇒躾ける=歩いて世界が広がる(原理原則)

(3) 学童前期→家族集団(役割と責任)⇒教える=家事労働・生活体験(文化伝承)

(4) 〃 後期→近隣仲間(協調と競争)⇒学び合う=友人関係・勉強(社会に拓く)

(5) 思春期→師・先生(苦悩と救済)⇒考えさせる=性が発現し悩み増す(生きる)

 

5. 新たに求められる保育所の役割

(1) 地域の養育センターの拠点としての多様な保育サービスの充実

★低年齢児保育・延長保育・一時的保育・乳幼児健康支援サービス・放課後児童クラブ(整備・人的配置の充実・公平な費用負担の原則・母子保健医療体制の充実)

(2) 地域の児童福祉関連機関・施設・団体・組織との連携・協働

(3) 一部改正して施行された児童福祉法を念頭においた柔軟な対応

 

6. 保育士として必要な三要素

(1) 価値観(自己覚知能力のあり方)→生老病死をどうとらえるか⇒人生80年

(2) 対話能力(どんな状況でもコミュニケーションできる)→人は人を理解できない⇒同床異夢

(3) 専門的知識と技術(打ち込む姿勢)→callingとjob

1] 保育所の必要性と機能(子どもの人権・社会的存在・可能性)⇒仏心鬼手

2] 子どもの発達課題と心理(子どもは発達途上人)⇒親和的態度・受容的態度

 

 

 

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