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推薦のことば

 

国土交通省総合政策局

環境・海洋課長大野裕夫

2001年3月

 

大気汚染や水質汚染、騒音や振動などの公害問題に比べて、「目にみえない」状況で進行している「地球温暖化問題」を正しく理解することは、容易でありません。

しかし、最近のほぼすべての研究が、「地球温暖化問題の深刻さは、従来の予測を上回る」方向を示唆している中、私たちにとって、たった1つの母星であるGAIA(地球)の健康問題が、目には見えないながらも着実に悪化していることは、間違いないのです。日本の運輸部門は、世界全体のCO2の約1%を排出しています。その9割が自動車からの排出量ですから、日本の自動車部門からの排出量も世界の1%と言える訳です。

そして、運輸部門からのCO2排出量は、自家用自動車の台数や走行量の急増を背景に、1990〜98年の間に21%も増加しています。

最近、自動車については、都市部の大気汚染の社会問題化が目立っていますが、CO2の増加も同様に、あるいは、長期的に考えればそれ以上に深刻になっているのです。

平成13年度税制改正では、長年の懸案であった「自動車のグリーン化税制」が認められました。私たちに「低燃費、かつ、低排出ガスの自動車」の開発・普及を促進するための貴重な武器が与えられた訳です。

しかし、運輸部門の地球温暖化問題は、この武器1つで解決できるほど簡単なものではありません。公共交通機関の利用促進、物流の効率化、燃料電池自動車を含む新技術の開発促進…。課題は、山のようにあります。

「交通部門環境年次報告書」は、このような状況の中、地球温暖化問題を中心とする運輸部門の環境問題を、交通エコロジー・モビリティ財団の取り組んでおられる環境対策事業と併せて、分かりやすく、かつ、詳細に紹介する貴重な資料です。

運輸部門における環境問題のご理解の一助にしていただければと考えています。

また、この機会に、本書の29ページで紹介されている「エコドライブ」に取り組んでいただける方を1人でも増やしたいというのが、私の希望です。

営業用自動車の場合、急発進、急ブレーキを行わない、無駄なアイドリングを防止する等、「エコドライブ」を実践されれば、最大で10%程度の燃料が節約できると言われています。

私自身も、無駄な荷物を積まないとか、長距離走行をしない時にはガソリンを満タンにしない(ガソリンが半分なら、満タン時と比べて、自動車の重さが20kgも軽くなります。当然、燃費も良くなるのです。)という形で「エコドライブ」を行っています。

地球に優しく、燃料費の節約にもなる「エコドライブ」。是非お試し下さい。

この冊子は、膨大な資料を整理し、文章化していただいた交通エコロジー・モビリティ財団の方々のご努力で完成しました。

関係者のご努力に深く感謝するとともに、この冊子の刊行に貴重な助成をいただいた日本財団に御礼の言葉を申し上げ、推薦の言葉に代えさせていただきます。

 

 

 

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