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7. 交通エコロジー・モビリティ財団の取り組み

(1) 一般商船による北太平洋での温室効果ガス観測システムの構築

地球温暖化並びにそれに伴って将来起こるであろう様々な現象の予測を精度良く行うためには、全地球的に気候変動を監視し、大気と海洋間の温室効果ガス、特に二酸化炭素の動態を解明することが重要となっています。しかしながら、観測船によるデータ収集には限界があり、先進工業国の大部分が集中する北半球に大きな面積を占める北太平洋においても、観測データの得られている海域及び季節は限られているのが現状です。

そこで、観測船と同等の分析精度を持ち、便乗観測者による操作が可能な、一般商船搭載用の観測システムを開発(1998年度)しました。開発した機器は、1999年1月、(株)商船三井所有コンテナ船「ありげーたーりばてい」に搭載し、北太平洋東京〜パナマ間定期航路において、二酸化炭素濃度の観測を実施してきました。

3年間を通して、計9航海分の観測を実施したことにより、季節変動も含めたデータを取得することができました。これらの観測データは、日本海洋学会、日本化学会等で報告されました。またデータの補正作業完了後、世界気象気候(WMO)温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)へ提供し、各国の研究者に公開される予定(本年6月頃、なお3航海分は公開済)です。

なお、当財団による調査を完了したこの観測システムは、2001年度以降、主として東部北太平洋を航海する観測船(東京大学海洋研究所所属の白鳳丸等)に搭載することが決まり、東京農工大学、東京大学、気象庁気象研究所の共同研究グループにより、今後も観測が継続される予定です。

 

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コンテナ船「ありげーたーりばてぃ」

 

 

(2) 家電リサイクル品の海上輸送システム活用に関する調査

2001年4月から「家電リサイクル法」が本格施行されますが、これを円滑に進めていくためには、使用済み家電の収集からリサイクルまでの静脈物流の一貫したシステムの構築が必要と考えられます。家電メーカーなどでは、海上輸送システムの情報が十分でなく、トラックを主体とした陸上輸送システムの構築を進めています。リサイクル品の輸送は、広域的な処理の必要性(大量の輸送量となる)、時間的制約が比較的ゆるい等の特徴があり、二酸化炭素削減などの環境負荷低減の観点を考慮すると、大量輸送機関である鉄道、海運等を効果的に活用することが有効な分野と考えられます。

そこで、使用済み家電4品目(冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン)について北九州市にある家電リサイクル工場まで、内航コンテナ船、台船、フェリーで輸送する実証実験を実施した結果、トラック輸送のみの静脈物流システムと比べ、荷役作業性、環境負荷などの面で優位性があることが確認できました。この実証実験の結果をもとに、実験に参加した事業者グループの中で、事業化の動きが進行中です。

今後は家電リサイクル品の対象品目の増加に伴い、新たな輸送需要の拡大が見込まれることから、比較的時間の制約がゆるい静脈物流システムには、二酸化炭素排出量が少ないなどのメリットがある海上輸送システムを活用していく重要度が一層高まっていくと考えられます。

 

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内航コンテナ船

 

 

 

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