5. 循環型社会の構築
大量生産・大量消費・大量廃棄型社会のあり方に根ざした環境問題を解決するために、特に、経済社会システムにおける物質循環の確保により、廃棄物の発生抑制(リデュース)、使用済製品の再使用(リユース)、回収されたものの原材料としての利用(リサイクル)、適正な廃棄物処理を基本とする「循環型社会」を形成する必要があります。
(1) 循環型社会の構築
前にも述べたとおり、廃棄物の発生量が高水準にあり、リサイクル率が年々上昇しつつも依然として低水準にある中で、廃棄物の発生量を抑制し、リサイクル率を向上させ、物質循環を確保する観点から、以下の法律が制定されています。
1] 循環型社会形成推進基本法
廃棄物等の発生の抑制、循環資源の循環的な利用(再使用、再生利用及び熱回収)の促進及び適正な処分の確保により、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷が低減される社会(これを「循環型社会」といいます。)を形成するために、国等の責務を規定し、また、循環型社会の形成に関する計画を策定することを定めています。
2] 資源の有効な利用の促進に関する法律(リサイクル法)
3] 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
4] 容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器リサイクル法)
5] 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)
6] 建設工事に係わる資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)
7] 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)
(2) 交通部門における循環型社会の構築
こうした中、交通部門において、以下の分野において循環型社会の構築に向けた施策が推進されています。
1] FRP廃船の高度リサイクルシステムの構築
FRP(繊維強化プラスチック)廃船が、毎年1万隻にも上ると試算される中、放置艇の沈廃船化を未然に防止し、循環型社会の構築や資源の有効活用等の社会的ニーズに対応するため、ミレニアムプロジェクトとして、現時点で最も実現の可能性が高いと考えられるFRP廃船の経済的なリサイクル技術(セメント原燃料等への利用)を確立するとともに、FRP廃船の艇体の構成部材や機器を再利用するリユース技術(船体のフォームの容易化等)を確立するための取り組みが行われています。