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おわりに

 

本事業では(社)日本海難防止協会、(株)商船三井、エム・オー・シップマネージメント(株)の協力に加えて、「ありげーたーりばてい」乗組員の協力により、従来は海洋観測船で実施していた温室効果ガスなどの海洋観測について、一般商船においても海洋観測船と同等な高精度のデータを取得することが可能な観測システムの構築を成した。

これらは気象庁をはじめとした企画立案および標準ガスの検定等測定精度維持を目的としたトレーサビリティの確立、観測装置製造メーカーによる一般商船搭載対応の仕様改良、海洋観測調査会社の現場観測のノウハウなど、本事業推進のための相互協力により実現した。

また、年間数度にわたり太平洋を東西に観測する調査は、海洋観測船では、ほとんど計画・実行されておらず、一般商船においてこのような観測を実施できる本観測システムの構築ができた意義は大きい。

海洋上には運輸交通システムとしての船舶航路が発達しており、そこを航行する船舶に広くこの海洋観測装置が普及・運用されるとすれば、従来の観測船によるデータ量をはるかに越える密度のデータを得ることが可能となるばかりではなく、運輸交通システムの社会的貢献度がさらに高くなるであろう。

本事業の成果を基に、一般商船など篤志船による観測を普及することで、時空間的により多くの観測データが蓄積され、地球環境問題の解決に有効に活用されていくことを期待する。

 

 

 

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