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別紙(3)-3

 

第2部 社会を支える気象情報とその高度化を目指して

第4章 国際協調による気象業務の推進と地球環境問題への貢献

 

(2) 海洋気象サービス

WMOと国連教育科学文化機関政府間海洋学委員会(UNESCO/IOC)は共同で、海水温、海流・海面水位等の観測、海洋データの収集・交換及び海洋情報の作成・提供を行うため「全世界海洋情報サービスシステム(IGOSS)」計画を実施している。気象庁は、同計画の国内調整を行うとともに、太平洋域の海水温・海流等のデータの解析及び成果の提供を行っている。また、WMO、IOC等が共同で実施している「全球海洋観測システム(GOOS)」の地域計画の一つである「北東アジア地域海洋観測システム(NEAR-GOOS)」においてもオンラインで情報を提供するデータベースの運用等の面でこの計画に貢献している。

その他、気象庁は、漂流ブイの運用管理、地球温暖化等に伴う海面水位の監視のほか、大規模な海洋汚染事故の処理活動を支援するためにWMO等が推進している「海洋汚染事故緊急対応支援システム(MPERSS)」等にも積極的に参加している。

 

3 国際的な地球環境・気候変動問題に関連する活動と気象庁の役割

地球温暖化を始めとする地球環境・気候変動問題に関連して、気象庁は、WMO等の国際機関が推進している種々の計画に以下の活動を通じて参加・協力している。

 

(1) 温室効果ガスの観測体制とわが国の果たす役割

大気中に微量に含まれる二酸化炭素やメタン等は、地球から宇宙空間に向かって放出される赤外線を吸収したのち、赤外線を再び地表に向けて放出することにより、地表付近の大気を温める効果(温室効果)を持つため、温室効果ガスと呼ばれる。

WMOは、二酸化炭素等の温室効果ガスやオゾン等の大気中に微量に存在する物質の濃度や降水中の化学成分等を全世界的に観測し、地球規模の大気環境の実態把握や変化の監視・予測のために必要な情報を政策担当者や研究者に提供することを目的とする全球大気監視(GAW)計画を1989年に設立した。

(ア) わが国における観測体制

気象庁は、綾里(岩手県)、南鳥島(東京都)、与那国島(沖縄県)において温室効果ガス、オゾン層破壊物質、降水中の化学成分等の濃度の観測を行っている。

さらに、運輸省及び(財)日航財団と協力して、日本−オーストラリア間の民間定期航空機により、地球規模の物質循環の解明に不可欠な、赤道を挟んだ南北両半球にまたがる範囲の上空(高度10km前後)の大気中の二酸化炭素濃度等の観測を平成5年(1993年)4月に開始し(月1回)、6年(1994年)7月以隆は月2回の観測を継続している。

また、海洋気象観測船「凌風丸」によって西太平洋の大気中及び海水中の二酸化炭素等の温室効果ガスを観測している。特に東経137度線に沿った日本から赤道域までの海域については、表面海水中の二酸化炭素の観測を昭和56年(1981年)以来18年間にわたって継続し、平成8年(1996年)1月からは、同様の観測を東経165度線でも行っている。さらに、平成10年4月から、函館海洋気象台所属の海洋気象観測船「高風丸」による本州東方海域の二酸化炭素濃度の観測を開始し、亜寒帯域の観測を強化している。

このほか、交通エコロジー・モビリティ財団が平成11年1月から開始した、日本−パナマ間を航行する商船を使用した北太平洋の広域にわたる大気中及び表面海水中の二酸化炭素濃度の観測に協力している。

 

 

 

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