3.4.2 堆積年数の算定方法
210Pbの測定結果から、堆積年数を算定するまでの流れを以下に示す。また、図-3.3に算定フローを示す。
1] 210Pbの値(単位はdpm/g※1)を測定する。
2] 各層のdpm/gの値と含水率を縦軸に、積算重量深度※2を横軸にとりグラフ化し、そのグラフから含水率が落ち着き、210Pb濃度が一定になる値(水中の226Raから生成してくる210Pbの値で、バックグラウンド値ともいう)を求める。
3] 各層のdpm/gの値からこの一定値になった210Pb濃度を差し引き、堆積分210Pb(210Pbex)※3を求める。
4] 片対数紙上に積算重量深度に対し210Pbexをプロットし、この直線の傾きより平均重量堆積速度※4を求める。
5] この平均重量堆積速度から平均堆積速度※5及び堆積年数※6を求める。
※1 DPM (disintegration per minute)
放射性物質の壊変を表す単位。放射性物質中の放射性核種が1分間に壊変する個数。
※2 積算重量深度(g・cm-2)=Wとする。1cm2当たりの堆積粒子の積算重量
W=(1-間隙率)×泥の密度×深さ(cm)
※3 堆積分210Pb(210Pbex)は大気から流入し、沈降粒子に吸着されて堆積した210Pb。
各層のdpm/g値=(水中の226Raから生成する210Pb)+210Pbex
210PbexをAex(W)とすると、
Aex(W)=各層のdpm/g値-(水中の226Raから生成する210Pb)より求める。
4 平均重量堆積速度=ω(g・cm-2年-1)
対数紙上に積算重量深度に対し210Pbexをプロットしたグラフの直線の式を、下の式に代入する事により求める事ができる。

※5 平均堆積速度(cm・年-1)=ω/((1-間隙率)×泥の密度)
※6 堆積年数(年)=積算重量深度(g・cm-2)/ω